問13 厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)健康測定の項目は、問診、生活状況調査、診察及び医学的検査であり、必要に応じて運動機能検査が含まれる。
(2)健康測定の結果に基づき、産業医が中心となって健康づくりに関する全般的な指導を行い、これをもとに必要があれば運動指導、保健指導等の指導を行うことも可能である。
(3)健康測定の結果に基づいて、産業医が運動プログラムを作成し、運動指導担当者が運動実践を行うに当たっての指導を行う。
(4)栄養の摂取量にとどまらず、労働者個人個人の食習慣や食行動の評価とその改善に向けて栄養指導を行う。
(5)心理相談担当者が行うメンタルヘルスケアの内容は、ストレスに対する気付きへの援助、リラクセーションの指導等である。
このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2019年度(令和元年度) | 問13 | 難易度 | 改訂前のTHP指針に関する問題であり、現時点では意味のない問題である。 |
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THP指針 | 5 |
問13 厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)健康測定の項目は、問診、生活状況調査、診察及び医学的検査であり、必要に応じて運動機能検査が含まれる。
(2)健康測定の結果に基づき、産業医が中心となって健康づくりに関する全般的な指導を行い、これをもとに必要があれば運動指導、保健指導等の指導を行うことも可能である。
(3)健康測定の結果に基づいて、産業医が運動プログラムを作成し、運動指導担当者が運動実践を行うに当たっての指導を行う。
(4)栄養の摂取量にとどまらず、労働者個人個人の食習慣や食行動の評価とその改善に向けて栄養指導を行う。
(5)心理相談担当者が行うメンタルヘルスケアの内容は、ストレスに対する気付きへの援助、リラクセーションの指導等である。
正答(3)(現時点では意味はない)
【解説】
2015年11月に改正されているとはいえ、試験当時には、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(リンク先は2020改正後の指針:以下、本問の解説で「指針」という。)に厳格に従って健康の保持増進措置を実施している事業者がそれほどいたとも思えない。そのため、まさか2019年に指針から出題されるとは思ってもいなかった方が多いのではないだろうか。
いささか、現実離れした問題という気がしていたが、その後2020年の3月に再び指針が改正(リンクは改正の概要)されてしまい、今となってはほとんど意味のない問題となってしまった。
もしかすると、試験問題を作成した試験委員は改正作業にかかわっておらず、改正作業の内容を知らなかったのかもしれない。しかし、当時としても、適切な問題だったかという疑問はなくもない。一応、現在の指針に合わせて解説をした。
(1)誤りとは言えない。現行指針の4(2)イ(イ)に「健康測定とは、健康指導を行うために実施される調査、測定等のことをいい、疾病の早期発見に重点をおいた健康診断を活用しつつ、追加で生活状況調査や医学的検査等を実施するもの」という表現がある。なお、改訂前の指針では、健康測定の項目として4(1)イに、本肢と同じことが記載されていた。
(2)誤りとは言えない。現行指針の4(2)イ(イ)に「健康測定は、産業医等が中心となって行い、その結果に基づき各労働者の健康状態に応じた必要な指導を決定する。それに基づき、事業場内の推進スタッフ等が労働者に対して労働者自身の健康状況について理解を促すとともに、必要な健康指導を実施することが効果的である」という表現がある。
なお、改訂前の指針には、「第一段階として 産業医が中心となって労働者自身の健康認識に応じた健康づくりに関する全般的な指 導を行い、これをもとに必要があれば第二段階として運動指導、保健指導等必要な健康指導を実施することも可能である」とされており、正しい肢であった。
(3)意味がない。現行指針には「運動実践担当者」という用語がない。なお、旧指針では、4(2)に「運動指導担当者が労働者個人個人について、実行可能な運動プログラムを作成し、運動実践を行うに当たっての指導を行う」とあり、誤った肢であった。産業医が運動プログラムを作成するわけがなかろう。
(4)誤りとは言えない。現行指針の4(2)イ(ロ)の趣旨に適う。なお、旧指針では、4(4)に「栄養の摂取量にとどまらず、労働者個人個人の食習慣や食行動の評価とその改善に向けて指導を行う」とあった。実務においては、これは健康測定の結果、食生活上問題が認められた労働者に対して行うものである。
(5)意味がない。現行指針には「心理相談担当者」という用語がない。なお、旧指針では、4(3)にメンタルヘルスケアの内容は「ストレスに対する気付きへの援助、リラクセーションの指導等である」とされていた。