労働衛生コンサルタント試験 2019年 労働衛生一般 問11

健康診断(全般)




問題文
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合格

 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問11 難易度 健康診断に関する基本的な問題である。これが正答できないようでは合格は覚束ない。
健康診断

問11 健康診断に関する次のイ~ニの記述について、適切でないものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 雇入時の健康診断結果を採用後の適正配置に活用した。

ロ 特殊健康診断結果の通知は異常所見のあった者のみに行った。

ハ 歯科特殊健康診断を歯周病予防対策のために50歳以上の高年齢労働者を対象に実施した。

ニ 有機溶剤の尿中代謝物検査で分布3の労働者がいたので、作業環境管理及び作業管理を見直した。

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)ロ   ハ

(4)ロ   ニ

(5)ハ   ニ

正答(3)

【解説】

本問は、問題文が不適切であるとしか言いようがない。イは個人情報保護法に関する設問だろうが、「適正配置」とあるだけなので個人情報保護法の問題と気づかなくても正答できてしまうのである。

ハは「歯科特殊健康診断」と「特殊」と書かれているので、労働安全衛生法第66条の健康診断だろうと思えるが、「歯周病予防対策」と言われると一般的な健康診断のように思えてしまう。安衛法の歯科特殊健診は、歯牙酸蝕症が発症しやすい下顎前歯、口腔粘膜の診査などを行うものである。歯周病の予防とは違うのではないだろうか。引っ掛け問題というしかない。

きわめて不適切な問題ではあるが、一応、(3)が正答となる。

イ 適正である。雇入時の健康診断結果は採後用の適正配置に活用することが前提とされているものである。採後用の適正配置に活用することは、それが適正なものである限りにおいて個人情報保護法第15条の利用目的の範囲内にあるので、問題はない。

ロ 不適切である。安衛法第66条の6の通知は、安衛則第51条の4によっても、異常所見のあった者のみに限定されていない。

ハ 不適切である。問題文の意味が必ずしも明らかではないが「歯科特殊健康診断」の意味が安衛法第66条第3項の健康診断の意味であり、かつ対象者を50歳以上の高年齢労者働に限定したという趣旨であれば、不適切であることは言うまでもない。

しかし、法定の健診を実施するかどうかは別にして、事業場独自で50歳以上の労働者に歯科医による歯周病予防のための一般的な健康診断を行うことそれ自体は、不適切とは言えない。本肢は、後者のように読めるが、ニが明らかに適切なので本肢は不適切であるとしておく。しかし、問題文が不適切であると指摘しておく。

ニ 適切である。作業環境管理及び作業管理を見直すことが不適切なはずがないだろう。

本肢は、あまりにも当たり前すぎるため、何か引っ掛け的な要素があるのではないかと、受験者もロとニでかなり迷ったようである。健康管理を見直していないので誤りともとれるが、「尿中代謝物検査」で異状が出て健康管理を見直す必要があるとも思えないので、適切なのだろう。

2019年12月07日執筆