労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生関係法令 問14

特定化学物質障害予防規則




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問14 難易度 特化則に関するかなり詳細な内容の問題である。かなりの難問の部類だろう。
特定化学物質

問14 特定化学物質障害予防規則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、同規則に定める適用除外及び設備の特例はないものとする。

(1)事業者は、特定化学設備又はその附属設備(配管を除く)については、原則として、2年以内ごとに1回、定期に、設備の内部にあってその損壊の原因となるおそれのある物の有無等所定の事項について自主検査を行わなければならない。

(2)事業者は、第二類物質又は第三類物質のガス、蒸気若しくは粉じんが発散する屋内作業場については、当該物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(3)事業者は、特定化学設備のバルブ又はコックについては、開閉の方向の表示、色分け又は形状の区分のいずれかの措置を講じなければならない。

(4)事業者は、特別管理物質を製造し、又は取り扱う作業場において常時作業に従事する労働者について、1年を超えない期間ごとに、労働者の氏名、従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間等を記録し、これを30年間保存しなければならない。

(5)事業者は、第三類物質を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者に対し、雇入れ又は当該業務への配置替えの際及び6か月以内ごとに1回、定期に、業務の区分に応じ、所定の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

正答(1)

【解説】

(1)正しい。特定化学物質障害予防規則第 31 条により正しい。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第45条第1項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

一~九 (略)

 特定化学設備(別表第三第二号に掲げる第二類物質のうち厚生労働省令で定めるもの又は同表第三号に掲げる第三類物質を製造し、又は取り扱う設備で、移動式以外のものをいう。)及びその附属設備

十一 (略)

 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

第31条 事業者は、特定化学設備又はその附属設備については、2年以内ごとに1回、定期に、次の各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、2年を超える期間使用しない特定化学設備又はその附属設備の当該使用しない期間においては、この限りではない。

 特定化学設備又は附属設備(配管を除く。)については、次に掲げる事項

 設備の内部にあってその損壊の原因となるおそれのある物の有無

ロ~ト (略)

 配管については、次に掲げる事項

イ~ハ (略)

 (略)

(2)誤り。ガス、蒸気若しくは粉じんが発散する屋内作業場について、当該物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならないのは、第一類物質及び第二類物質であり、第三類物質についてこのような規定はない。

なお、第三類物質は、大量漏洩による災害防止についての観点から規制をかけている物質であり、具体的には特化則で次のような規制がかかっている。特殊健康診断や作業環境測定の規制もない。

第13条 著しい腐食による当該物質の漏えいを防止するための腐食防止措置
第15条 バルブ等の開閉方向の表示等
第16条 バルブ等の材質等を耐久性のある材料とすること
第17条 特定化学設備への送給原材料等の表示
第18条 特定化学設備を設置する屋内作業場及び当該作業場を有する建築物の避難階への二以上の出入口の設置
第19条 漏えいした場合に関係者にこれを速やかに知らせるための警報用の器具の設置
第19条の2 緊急しや断装置の設置等
第19条の3 予備動力源等
第20条 漏えいを防止するため必要な作業規程
第23条 漏えいした場合の作業場等からの退避
第24条 立入禁止措置
第26条 救護組織等
第31条 漏えいを防止するため必要な事項についての定期自主検査

【特定化学物質障害予防規則】

(第二類物質の製造等に係る設備)

第4条 事業者は、特定第二類物質又はオーラミン等(以下「特定第二類物質等」という。)を製造する設備については、密閉式の構造のものとしなければならない。

2~5 (略)

第5条 事業者は、特定第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんが発散する屋内作業場(特定第二類物質を製造する場合、特定第二類物質を製造する事業場において当該特定第二類物質を取り扱う場合、燻くん蒸作業を行う場合において令別表第三第二号5、15、17、20若しくは31の2に掲げる物又は別表第一第五号、第十五号、第十七号、第二十号若しくは第三十一号の二に掲げる物(以下「臭化メチル等」という。)を取り扱うとき、及び令別表第三第二号30に掲げる物又は別表第一第三十号に掲げる物(以下「ベンゼン等」という。)を溶剤(希釈剤を含む。第三十八条の十六において同じ。)として取り扱う場合に特定第二類物質のガス、蒸気又は粉じんが発散する屋内作業場を除く。)又は管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんが発散する屋内作業場については、当該特定第二類物質若しくは管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。ただし、当該特定第二類物質若しくは管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置が著しく困難なとき、又は臨時の作業を行うときは、この限りでない。

 (略)

(3)誤り。特定化学設備のバルブ又はコックについては、特化則第 15 条の規定により、開閉の方向の表示、色分け又は形状の区分等の措置が義務付けられている。そして、「開閉の方向の表示」と「色分け又は形状の区分」は双方の措置を行わなければならないのであって、いずれかの措置を講じればよいわけではない。

【特定化学物質障害予防規則】

(バルブ等の開閉方向の表示等)

第15条 事業者は、特定化学設備のバルブ若しくはコック又はこれらを操作するためのスイツチ、押しボタン等については、これらの誤操作による第三類物質等の漏えいを防止するため、次の措置を講じなければならない。

 開閉の方向を表示すること。

 色分け、形状の区分等を行うこと。

 前項第二号の措置は、色分けのみによるものであってはならない。

(4)誤り。特別管理物質を製造し、又は取り扱う作業場において常時作業に従事する労働者について、1を超えない期間ごとに、労働者の氏名、従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間等を記録し、これを 30 年間保存しなければならない。1を超えない期間ごとにとする本肢は誤りである。

【特定化学物質障害予防規則】

(作業の記録)

第38条の4 事業者は、第一類物質(塩素化ビフェニル等を除く。)又は令別表第三第二号3の2から6まで、8、8の2、11から12まで、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、21、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物若しくは別表第一第三号の二から第六号まで、第八号、第八号の二、第十一号から第十二号まで、第十三号の二から第十五号の二まで、第十八号の二から第十九号の五まで、第二十一号、第二十二号の二から第二十二号の五まで、第二十三号の二から第二十四号まで、第二十六号、第二十七号の二、第二十九号、第三十号、第三十一号の二、第三十二号、第三十三号の二若しくは第三十四号の三に掲げる物(以下「特別管理物質」と総称する。)を製造し、又は取り扱う作業場(クロム酸等を取り扱う作業場にあつては、クロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場に限る。)において常時作業に従事する労働者について、一月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを三十年間保存するものとする。

 労働者の氏名

 従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間

 特別管理物質により著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が講じた応急の措置の概要

※ 特化則第 38 条の4は、本問出題当時は以下のようになっていた。2024年4月1日施行の化学物質の自律的管理関連の改正により現在は上記のようになっているが、本肢の正誤には影響がない。

(作業の記録)

第38条の4 事業者は、特別管理物質を製造し、又は取り扱う作業場において常時作業に従事する労働者について、1月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを30年間保存するものとする。

一~三 (修正なし)

(5)誤り。安衛令第 22 条第1項(第三号)により誤り。第三類物質は、大量漏洩の防止の観点から規制をかけている物質であり、特殊健康診断の対象とはならない。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 (第1項 略)

 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。

3~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(健康診断を行うべき有害な業務)

第22条 法第66条第2項前段の政令で定める有害な業務は、次のとおりとする。

一及び二 (略)

 別表第三第一号若しくは第二号に掲げる特定化学物質(同号5及び31の2に掲げる物並びに同号37に掲げる物で同号5又は31の2に係るものを除く。)を製造し、若しくは取り扱う業務(同号8若しくは32に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号8若しくは32に係るものを製造する事業場以外の事業場においてこれらの物を取り扱う業務及び同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に係るものを製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを除く。)、第十六条第一項各号に掲げる物(同項第四号に掲げる物及び同項第九号に掲げる物で同項第四号に係るものを除く。)を試験研究のため製造し、若しくは使用する業務又は石綿等の取扱い若しくは試験研究のための製造若しくは石綿分析用試料等の製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務

 (以下略)

別表第三 特定化学物質(第六条、第十五条、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 第一類物質

1~8 (略)

 第二類物質

1~37 (略)

 第三類物質

1~9 (略)

2018年10月20日執筆 2024年11月19日法令改正への対応のため改訂