労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生関係法令 問12

有機溶剤中毒予防規則




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 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問12 難易度 これは覚えておかなければならない。衛生管理者試験の定番でもある。正答できなければならない。
有機溶剤中毒予防規則

問12 有機溶剤中毒予防規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、同規則に定める適用除外及び設備の特例はないものとする。

(1)事業者は、有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を色分けの方法により、表示するとき、第一種有機溶剤等については黄としなければならない。

(2)1,2-ジクロルエチレン及び二硫化炭素は、第一種有機溶剤等である。

(3)屋内作業場で第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う場合は、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(4)第一種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う屋内作業場に設ける囲い式フードの局所排気装置は、0.4メートル毎秒の制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。

(5)有機溶剤作業主任者の職務には、保護具の使用状況を監視することが含まれている。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。有機溶剤中毒予防規則第 25 条の規定により誤りである。第一種有機溶剤等については赤としなければならない。

【有機溶剤中毒予防規則】

(有機溶剤等の区分の表示)

第25条 事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。

 前項の色分けによる表示は、次の各号に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める色によらなければならない。

 第一種有機溶剤等 赤

 第二種有機溶剤等 黄

 第三種有機溶剤等 青

(2)正しい。有機溶剤の定義は有機則第1条第1項第3号に示されている。1,2-ジクロルエチレン及び二硫化炭素は、ともに第一種有機溶剤等である。本肢は正しい。

【労働安全衛生法施行令】

別表第6の2 有機溶剤(第6条、第21条、第22条関係)

一~二十七 (略)

二十八 一・二―ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン)

二十九~三十七 (略)

三十八 二硫化炭素

三十九~五十五 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 有機溶剤 労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)別表第六の二に掲げる有機溶剤をいう。

 有機溶剤等 有機溶剤又は有機溶剤含有物(有機溶剤と有機溶剤以外の物との混合物で、有機溶剤を当該混合物の重量の5パーセントを超えて含有するものをいう。第六号において同じ。)をいう。

 第一種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。

 令別表第6の2第二十八号又は第三十八号に掲げる物

 イに掲げる物のみから成る混合物

 イに掲げる物と当該物以外の物との混合物で、イに掲げる物を当該混合物の重量の5パーセントを超えて含有するもの

四~六 (略)

 (略)

(3)正しい。有機則は、使用量(第2条~第3条)による適用除外規定があるが、本問ではその適用はないとされている。従って、有機則第5条により、本肢の場合は、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。本肢は正しい。

なお、有機則は、一定の場所(例:屋内作業場)で、一定の物質(有機溶剤等)を扱う一定の業務(第1条第1項第六号の有機溶剤業務)に対して適用されることとなることは、常に念頭に置く必要がある。

【有機溶剤中毒予防規則】

(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)

第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第1条第1項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第13条の2第1項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(4)正しい。局所排気装置の制御風速については、有機則第16条に規定があり、囲い式フードの局所排気装置は、0.4 メートル毎秒の制御風速を出し得る能力を有するものでなければならないとされている。従って本肢は正しい。

なお、同条第2項に例外規定があるが、同項第一号は第三種有機溶剤に関するものであるので本肢とは無関係であり、第二号は設備の特例に関する規定なので本問の範囲外のことである。

【有機溶剤中毒予防規則】

(局所排気装置の性能)

第16条 局所排気装置は、次の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。

型式 制御風速(メートル/秒)
囲い式フード 〇・四
外付け式フード 側方吸引型 〇・五
下方吸引型 〇・五
上方吸引型 一・〇
備考 (略)

 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該局所排気装置は、その換気量を、発散する有機溶剤等の区分に応じて、それぞれ第17条に規定する全体換気装置の換気量に等しくなるまで下げた場合の制御風速を出し得る能力を有すれば足りる。

 第6条第一項の規定により局所排気装置を設けた場合

 第8条第2項、第9条第1項又は第11条の規定に該当し、全体換気装置を設けることにより有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備及び局所排気装置を設けることを要しないとされる場合で、局所排気装置を設けたとき。

(5)正しい。有機則第 19 条の2の規定により、有機溶剤作業主任者の職務には、保護具の使用状況を監視することが含まれている。

【有機溶剤中毒予防規則】

(有機溶剤作業主任者の職務)

第19条の2 事業者は、有機溶剤作業主任者に次の事項を行わせなければならない。

 作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。

 局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を1月を超えない期間ごとに点検すること。

 保護具の使用状況を監視すること

 タンクの内部において有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第26条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。

2018年10月20日執筆 2024年11月19日最終改訂