問11 労働安全衛生法に基づいて実施する作業環境測定の測定対象、測定頻度及び測定結果の記録の保存期間の記見合わせとして、正しいものは次のうちどれか
測定対象 | 測定頻度 | 記録の保存期間 | |||
---|---|---|---|---|---|
(1) | 空気中の放射性物質の濃度 | 1月以内ごとに1回 | 5年間 | ||
(2) | 空気中のアクリルアミドの濃度 | 6か月以内ごとに1回 | 30年間 | ||
(3) | 空気中の塩化ビニルの濃度 | 6か月以内ごとに1回 | 7年間 | ||
(4) | 空気中のクロルベンゼンの濃度 | 1年以内ごとに1回 | 3年間 | ||
(5) | 空気中のクレゾールの濃度 | 1年以内ごとに1回 | 3年間 |
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問11 | 難易度 | やや細かな内容ではあるが、これは覚えておく必要がある。必ず正答できなければならない。 |
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作業環境測定 | 3 |
問11 労働安全衛生法に基づいて実施する作業環境測定の測定対象、測定頻度及び測定結果の記録の保存期間の記見合わせとして、正しいものは次のうちどれか
測定対象 | 測定頻度 | 記録の保存期間 | |||
---|---|---|---|---|---|
(1) | 空気中の放射性物質の濃度 | 1月以内ごとに1回 | 5年間 | ||
(2) | 空気中のアクリルアミドの濃度 | 6か月以内ごとに1回 | 30年間 | ||
(3) | 空気中の塩化ビニルの濃度 | 6か月以内ごとに1回 | 7年間 | ||
(4) | 空気中のクロルベンゼンの濃度 | 1年以内ごとに1回 | 3年間 | ||
(5) | 空気中のクレゾールの濃度 | 1年以内ごとに1回 | 3年間 |
正答(1)
【解説】
(1)正しい。電離放射線障害防止規則第 55 条の規定により、正しい。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~五 (略)
六 別表第二に掲げる放射線業務を行う作業場で、厚生労働省令で定めるもの
七~十 (略)
【電離放射線障害防止規則】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第53条 令第21条第六号の厚生労働省令で定める作業場は、次のとおりとする。
一 放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分
二 放射性物質取扱作業室
二の二 事故由来廃棄物等取扱施設
三 令別表第二第七号に掲げる業務を行う作業場
(放射性物質の濃度の測定)
第55条 事業者は、第53条第二号から第三号までに掲げる作業場について、その空気中の放射性物質の濃度を1月以内ごとに1回、定期に、放射線測定器を用いて測定し、その都度、前条第1項各号に掲げる事項を記録し、これを5年間保存しなければならない。
(2)誤り。空気中のアクリルアミドの濃度の測定について、6か月以内ごとに1回としていることは正しいが、保存期間を 30 年間としていることは誤りで、特化則第 36 条第2項によって3年間の保存を義務付けられている。
なお、同規則第 36 条第1項がカッコ書きで「別表第1に掲げる物を除く」としているが、これは、あくまでも測定するのは純物質であって、混合物(すべての成分)を測定する必要はないとしているのである。すなわちアクリルアアミド1%強と水 99 %弱の混合物があれば、その混合物は第二類物質であるが、測定するべきはアクリルアアミドと水ではなく、アクリルアミドのみであるという、ある意味で当然のことを言っているにすぎない。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~六 (略)
七 別表第三第一号若しくは第二号に掲げる特定化学物質(同号34の2に掲げる物及び同号37に掲げる物で同号34の2に係るものを除く。)を製造し、若しくは取り扱う屋内作業場(同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを行うものを除く。)、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する屋内作業場若しくは石綿分析用試料等を製造する屋内作業場又はコークス炉上において若しくはコークス炉に接してコークス製造の作業を行う場合の当該作業場
八~十 (略)
別表第3 特定化学物質(第六条、第十五条、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)
一 (略)
二 第二類物質
1 アクリルアミド
2~5 (略)
6 塩化ビニル
7~37 (略)
三 (略)
【特定化学物質障害予防規則】
(測定及びその記録)
第36条 事業者は、令第21条第七号の作業場(石綿等(石綿障害予防規則(石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)第2条第1項に規定する石綿等をいう。以下同じ。)に係るもの及び別表第1第三十七号に掲げる物を製造し、又は取り扱うものを除く。)について、6月以内ごとに一回、定期に、第一類物質(令別表第3第一号8に掲げる物を除く。)又は第二類物質(別表第1に掲げる物を除く。)の空気中における濃度を測定しなければならない。
2 事業者は、前項の規定による測定を行ったときは、その都度次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない
一~七 (略)
3 事業者は、前項の測定の記録のうち、令別表第3第一号1、2若しくは4から7までに掲げる物又は同表第二号3の2から6まで、8、8の2、11の2、12、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物に係る測定の記録並びに同号11若しくは21に掲げる物又は別表第一第十一号若しくは第二十一号に掲げる物(以下「クロム酸等」という。)を製造する作業場及びクロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場について行つた令別表第三第二号11又は21に掲げる物に係る測定の記録については、30年間保存するものとする。
4 (略)
別表第一 (第二条、第二条の二、第五条、第十二条の二、第二十四条、第二十五条、第二十七条、第三十六条、第三十八条の四、第三十八条の七、第三十九条関係)
一 アクリルアミドを含有する製剤その他の物。ただし、アクリルアミドの含有量が重量の1パーセント以下のものを除く。
二~五 (略)
六 塩化ビニルを含有する製剤その他の物。ただし、塩化ビニルの含有量が重量の1パーセント以下のものを除く。
七~三十七 (略)
(3)誤り。(2)と同様であるが、空気中の塩化ビニルの濃度の測定について、6か月以内ごとに1回としていることは正しいが、保存期間を7年間としていることは誤りで、特化則第 36 条第3項により 30 年間の保存が義務付けられている。
なお、特化則第 36 条第3項で30年間の保存を義務付けているのは、発がん性があるとされている物資である。
(4)誤り。空気中のクロルベンゼンの濃度を1年以内ごとに1回としてるのは誤りで、有機則第 28 条第2項の規定により6月以内ごとに1回測定しなければならない。なお、保存年限を3年間としていることは正しい。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~九 (略)
十 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場
別表第6の2 有機溶剤(第六条、第二十一条、第二十二条関係)
一~十一 (略)
十二 クレゾール
十三 クロルベンゼン
十四~五十五 (略)
【有機溶剤中毒予防規則】
(測定)
第28条 令第21条第十号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第3条第1項の場合における同項の業務以外の業務とする。
2 事業者は、前項の業務を行う屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。
3 事業者は、前項の規定により測定を行なつたときは、そのつど次の事項を記録して、これを3年間保存しなければならない。
一~七 (略)
(5)誤り。(4)と同様であるが、空気中のクレゾール濃度を1年以内ごとに1回としてるのは誤りで、有機則第 28 条第2項の規定により6月以内ごとに1回測定しなければならない。なお、保存年限を3年間としていることは正しい。本肢は誤りである。
有機溶剤(第3種を除く。)と特定化学物質(第3類を除く。)について、作業環境測定を6月以内ごとに1回行わなければならないことは覚えておくこと。