問8 労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)及びその結果に基づく医師による面接指導に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。
ロ ストレスチェックは、医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を受けた社会福祉士若しくは精神保健福祉士が行わなければならない。
ハ 事業者は、ストレスチェックを実施した医師等から、遅滞なく、ストレスチェックの結果を入手し、当該結果を労働者に通知しなければならない。
ニ 事業者は、ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者のうち、心理的な負担の程度が高く、ストレスチェックを実施した医師等が必要と認めた者であって、面接指導を受けることを希望する旨を申し出た者に対して、医師による面接指導を行わなければならない。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ
(5)ロ ニ
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問08 | 難易度 | やや詳細な内容を問うているが、ストレスチェックは重点項目である。確実に正答しなければならない。 |
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ストレスチェック | 2 |
問8 労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)及びその結果に基づく医師による面接指導に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。
ロ ストレスチェックは、医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を受けた社会福祉士若しくは精神保健福祉士が行わなければならない。
ハ 事業者は、ストレスチェックを実施した医師等から、遅滞なく、ストレスチェックの結果を入手し、当該結果を労働者に通知しなければならない。
ニ 事業者は、ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者のうち、心理的な負担の程度が高く、ストレスチェックを実施した医師等が必要と認めた者であって、面接指導を受けることを希望する旨を申し出た者に対して、医師による面接指導を行わなければならない。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ
(5)ロ ニ
正答(3)
【解説】
以下により、(3)が正答となる。
イ 正しい。安衛則第 52 条の 10 第2項により、ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならないとされている。従って本肢は正しい。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(検査の実施者等)
第52条の10 法第66条の10第1項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。
一~三 (略)
2 検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない。
ロ 誤り。安衛則第 52 条の 10 第1項はストレスチェックの実施者について定めているが、必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した社会福祉士は実施者として含まれていない。また、必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師が含まれている。従って、本肢は誤りである。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(検査の実施者等)
第52条の10 法第66条の10第1項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。
一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
2 (略)
ハ 誤り。事業者は、ストレスチェックを実施した医師等から、直接、当該結果が労働者に通知されるようにしなければならない。
安衛法第 66 条の2後段はストレスチェックを行った医師等に対して、その結果を労働者の同意なく事業者に提供してはならないとする。従って、医師等に対する労働者の同意(この同意はあくまでも医師等に対するもの)がない限り、事業者が医師等からストレスチェックの結果を入手しようとすることは、違法であると考えられる。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 (第1項 略)
2 事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行った医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。
3~9 (略)
ニ 正しい。安衛法第 66 条の10第3項並びに安衛則第52条の15により、事業者は、ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者のうち、心理的な負担の程度が高くストレスチェックを実施した医師等が必要と認めた者であって、面接指導を受けることを希望する旨を申し出た者に対して、医師による面接指導を行わなければならない。本肢は正しい。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 (第1項及び第2項 略)
3 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であって、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。(以下略)
4~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(面接指導の対象となる労働者の要件)
第52条の15 法第66条の10第3項の厚生労働省令で定める要件は、検査の結果、心理的な負担の程度が高い者であって、同項に規定する面接指導(以下この節において「面接指導」という。)を受ける必要があると当該検査を行った医師等が認めたものであることとする。