労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生関係法令 問07

長時間労働者に対して行う面接指導




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 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問07 難易度 長時間労働者への面接指導は、重点項目である。確実に正答しなければならない問題である。
長時間労働者の面接指導

問7 長時間労働者に対して事業者が行う面接指導に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

なお、本問において、時間外・休日労働時間とは、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間をいうものとする。

イ 事業者は1か月当たりの時間外・休日労働時間が100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者のうち、医師が必要と認めた者に対し、医師による面接指導を行わなければならない。

ロ 医師は、面接指導を行うに当たって、労働者の勤務の状況、家庭の状況のほか、保健師等による指導の状況について確認を行うものとする。

ハ 事業者は、面接指導の結果に基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について、原則として、面接指導が行われた後、遅滞なく、医師の意見を聴かなければならない。

ニ 事業者は、面接指導の結果に基づき、実施年月日、労働者の氏名、面接指導を行った医師の氏名、労働者の心身の状況及び面接指導の結果に基づく労働者の健康を保持するために必要な措置についての医師の意見を記載した記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)イ   ニ

(4)ロ   ハ

(5)ハ   ニ

正答(5)

【解説】

以下により、(5)が正答となる。

イ 誤り。安衛法第66条の8の面接指導の対象者は、安衛則第第52条の2第1項の規定により、医師による面接指導の対象となるのは、時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超え、「かつ、疲労の蓄積が認められる者」である。100時間ではない。従って本肢は誤りである。

また、「医師が必要と認めた者に対して行う」のではなく、期日前一月以内に面接指導を受けた労働者等であって面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものが除かれるのであり、この意味でも誤りである。

なお、安衛法第66条の8の2の労働者(新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する労働者)及び安衛法第66条の8の4の労働者(高度プロフェッショナル制度の対象者)については、安衛法第66条の8の対象から除かれているが、これらの者の面接指導については時間外・休日労働時間が1か月当たり100時間を超える者が対象となる。

【労働安全衛生法】

(面接指導等)

第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(次条第一項に規定する者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。以下この条において同じ。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。

2~5 (略)

第66条の8の2 事業者は、その労働時間が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超える労働者(労働基準法第三十六条第十一項に規定する業務に従事する者(同法第四十一条各号に掲げる者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。)に限る。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。

 (略)

第66条の8の4 事業者は、労働基準法第四十一条の二第一項の規定により労働する労働者であつて、その健康管理時間(同項第三号に規定する健康管理時間をいう。)が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。

 (略)

【労働安全衛生規則】

(面接指導の対象となる労働者の要件等)

第52条の2 法第六十六条の八第一項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり八十時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。ただし、次項の期日前一月以内に法第六十六条の八第一項又は第六十六条の八の二第一項に規定する面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であつて法第六十六条の八第一項に規定する面接指導(以下この節において「法第六十六条の八の面接指導」という。)を受ける必要がないと医師が認めたものを除く

2及び3 (略)

第52条の7の2 法第六十六条の八の二第一項の厚生労働省令で定める時間は、休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間について、一月当たり百時間とする。

 (略)

第52条の7の4 法第六十六条の八の四第一項の厚生労働省令で定める時間は、一週間当たりの健康管理時間(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四十一条の二第一項第三号に規定する健康管理時間をいう。)が四十時間を超えた場合におけるその超えた時間について、一月当たり百時間とする。

 (略)

ロ 誤り。安衛則第52条の4は面接指導における確認事項が定められているが、家庭の状況のほか、保健師等による指導の状況について確認を行うものとするとはされていない。従って本肢は誤りである。

【労働安全衛生規則】

(面接指導における確認事項)

第52条の4 医師は、面接指導を行うに当たっては、前条第1項の申出を行った労働者に対し、次に掲げる事項について確認を行うものとする。

 当該労働者の勤務の状況

 当該労働者の疲労の蓄積の状況

 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況

ハ 正しい。安衛法第66条の8第4項及び安衛則第52条の7より、事業者は、面接指導の結果に基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について、原則として、面接指導が行われた後、遅滞なく、医師の意見を聴かなければならない。本肢は正しい。

【労働安全衛生法】

(面接指導等)

第66条の8 (略)

 (略)

 (略)

 事業者は、第一項又は第二項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。

 (略)

【労働安全衛生規則】

(面接指導の結果についての医師からの意見聴取)

第52条の7 面接指導の結果に基づく法第66条の8第4項の規定による医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後(法第66条の8第2項ただし書の場合にあっては、当該労働者が面接指導の結果を証明する書面を事業者に提出した後)、遅滞なく行わなければならない。

ニ 正しい。安衛則第52条の6により正しい。

【労働安全衛生規則】

(労働者の希望する医師による面接指導の証明)

第52条の5 (略)

 実施年月日

 当該労働者の氏名

 面接指導を行った医師の氏名

 当該労働者の疲労の蓄積の状況

 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況

(面接指導結果の記録の作成)

第52条の6 事業者は、面接指導(法第66条の8第2項ただし書の場合において当該労働者が受けた面接指導を含む。次条において同じ。)の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを五年間保存しなければならない。

 前項の記録は、前条各号に掲げる事項及び法第66条の8第4項の規定による医師の意見を記載したものでなければならない。

2018年10月20日執筆 2021年09月15日最終修正