労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生一般 問29

労働安全衛生マネジメントシステム




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問29 難易度 安全分野の問題ではあるが、前問同様、ほぼ常識的な知識問題である。正答できなければならない。
OSHMS

問29 厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)あらかじめ、労働災害発生の急迫した危険がある状態(以下「緊急事態」という。)が生ずる可能性を評価し、緊急事態が発生した場合に労働災害を防止するための措置を定める。

(2)システム監査の結果を踏まえ、定期的に、労働安全衛生マネジメントシステムの妥当性及び有効性を確保するため、労働安全衛生マネジメントシステムの全般的な見直しを行う。

(3)安全衛生計画を作成する際には、リスクアセスメントの結果に基づき実施する措置、管理監督者の安全衛生教育のように、計画的に実施する事項を中心とし、危険予知活動、ヒヤリ・ハット事例の収集のように、日常的に行う活動は含めない。

(4)労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査及び問題点の把握を実施する手順を定め、手順に基づき、これらの発生した直接の原因とともに、これらが発生するに至った背景要因も調査するようにする。

(5)安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たっては、安全衛生委員会等を通じて労働者の意見を反映するようにする。

正答(3)

【解説】

なお、本問は、問題本文にもあるように、「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(以下、本問の解説において「指針」という。)に関する設問である。

(1)適切である。指針第14条には「事業者は、あらかじめ、労働災害発生の急迫した危険がある状態(以下「緊急事態」という。)が生ずる可能性を評価し、緊急事態が発生した場合に労働災害を防止するための措置を定めるとともに、これに基づき適切に対応するものとする」とある。

(2)適切である。指針第18条には「事業者は、前条第1項のシステム監査の結果を踏まえ、定期的に、労働安全衛生マネジメントシステムの妥当性及び有効性を確保するため、安全衛生方針の見直し、この指針に基づ き定められた手順の見直し等労働安全衛生マネジメントシステムの全般的な見直しを行うものとする」とある。

(3)適切ではない。指針第12条には「安全衛生計画」について定められており、「日常的な安全衛生活動の実施に関する事項」を含めることとされている。

(4)適切である。指針第16条には「事業者は、労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点 の把握及び改善を実施する手順を定めるとともに、労働災害、事故等が発生した場合には、この手順に基づき、これらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施するものとする」とされている。

そして平成18年3月17日基発第0317007号「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針の改正について」によれば「『これらの原因の調査並びに問題点の把握』を実施するに当たっては、当該労働災害、事故等の直接の原因の解明にとどまることなく、当該事象を引き起こすに至った背景要因を総合的に勘案する必要がある」とされている。従って正しい。

(5)指針第6条には「事業者は、安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たり、安全衛生委員会等(安全衛生委員会、安全委員会又は衛生委員会をいう。以下同じ。)の活用等労働者の意見を反映する手順を定めるとともに、この手順に基づき、労働者の意見を反映するものとする」とされている。従って正しい。

2019年12月01日執筆 2020年01月19日修正