労働衛生統計

問２７　我が国の労働衛生統計に関する次のイ～ニの記述について、正しいもののみをすべて挙げたものは（１）～（５）のうちどれか。

イ　厚生労働省の「定期健康診断結果調」によると、常時50人以上の労働者を使用する事業場における定期健康診断の平成28年の検査項目別の有所見率は、血圧検査、肝機能検査、血中脂質検査及び血糖検査を比較すると、血中脂質検査の有所見率が最も高い。

ロ　厚生労働省の「業務上疾病調」によると、平成28年の業務上疾病者数は約7,400人で、このうち化学物質による疾病（がんを除く。）が最も多く、全体の約３割を占めている。

ハ　厚生労働省の「じん肺健康管理実施結果調」（随時申請によるものを除く。）によると、じん肺健康診断受診労働者数のうちの有所見者数の割合は、過去20年間減少傾向にあり、平成28年は約10％となっている。

ニ　厚生労働省・警察庁の「自殺の状況」によると、我が国の自殺者数は、平成23年までの十数年間３万人台で推移していたが、平成24年に３万人を割った後、毎年減少傾向にあり、平成28年は約２万２千人で、そのうち、被雇用者・勤め人が７割以上を占めている。

（１）イ

（２）イ　　　ニ

（３）ロ

（４）ロ　　　ハ

（５）ハ　　　ニ

正答（１）

【解説】

以下により（１）が正答となる。なお、各自、リンク先から最新のデータを確認しておいて欲しい。

また、労働衛生統計については、本サイトの「最新の労働衛生の統計情報」の他、本問に関する具体的な数値は「表で見る労働災害の発生と労働衛生の状況」も参照されたい。

イ　正しい。「定期健康診断結果報告」による、平成28年の常時50人以上の労働者を使用する事業場における（一般の）定期健康診断の有所見率は、検査項目別の有所見率は、血圧検査15.4％、肝機能検査15.0％、血中脂質検査32.2％、血糖検査11.0％となっている。血中脂質検査の有所見率が最も高いので本肢は正しい。

ロ　誤り。厚生労働省の「業務上疾病調」によると、平成28年の業務上疾病者数は7,340人で、このうち化学物質による疾病（がんを除く。）は215人で、全体の約３％を占めている。最も多いのは負傷に起因する疾病で、5,574人と全体の約76％を占めている。従って、本肢は誤りである。

※　なお、令和２年（2020年）以降の新型コロナへの感染は除いている。新型コロナへの感染を含めたグラフは「労働衛生（産業保健）最新統計」を参照して頂きたい。

ハ　誤り。厚生労働省の「じん肺健康管理実施結果調」（随時申請によるものを除く。）によると、じん肺健康診断受診労働者数のうちの有所見者数の割合は、過去20年間減少傾向（平成21年に前年を上回った）にあり、平成28年は約１％となっている。従って、本肢は誤りである。

ニ　誤り。厚生労働省と警察庁は、それぞれ別な自殺統計を作成している。

警察庁の「自殺の状況」によると、我が国の自殺者数は、平成23年までの15年間３万人台で推移していたが、平成24年に３万人を割った後、毎年減少傾向にあり、平成28年は約27,858人で、被雇用者・勤め人が6,646人と23.9％を占めている。従って、本肢は誤りである。

2019年12月01日執筆 2020年01月19日修正