問25 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)使い捨て式防じんマスクは、容器又は袋に詰めた状態で廃棄する。
(2)化学防護手袋は、作業を中断した場合には、中断時間を除いて使用可能時間を計算する。
(3)強度向上の目的で、化学防護手袋とその他の手袋を二重装着した場合でも、使用可能時間は延長しない。
(4)防毒マスクのしめひもについては、耳にかけることなく、後頭部において固定する。
(5)呼吸器系に疾患のある労働者については、防毒マスク着用の作業の適否に関して、産業医などに確認する。
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問25 | 難易度 | 労働衛生保護具に関する知識問題である。やや新しい知識を問うている。 |
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労働衛生保護具 | 4 |
問25 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)使い捨て式防じんマスクは、容器又は袋に詰めた状態で廃棄する。
(2)化学防護手袋は、作業を中断した場合には、中断時間を除いて使用可能時間を計算する。
(3)強度向上の目的で、化学防護手袋とその他の手袋を二重装着した場合でも、使用可能時間は延長しない。
(4)防毒マスクのしめひもについては、耳にかけることなく、後頭部において固定する。
(5)呼吸器系に疾患のある労働者については、防毒マスク着用の作業の適否に関して、産業医などに確認する。
正答(2)
【解説】
なお、本問については、当サイトの「保護具の基本(ECETOC TRAの入力項目APF を含めて)を解説する」を参照して頂きたい。
(1)正しい。令和5年5月25日基発0525第3号「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(以下「保護マスク通達」という。)の第4の1の(8)に「使用済みのろ過材、吸収缶及び使い捨て式防じんマスクは、付着した粉じんや有毒ガス等が再飛散しないように容器又は袋に詰めた状態で廃棄すること
」とされている(※)。
※ 本問出題当時は、平成17年2月7日基発第0207006号「防じんマスクの選択、使用等について」が有効であり、「使用済みのろ過材及び使い捨て式防じんマスクは、付着した粉じん等が再飛散しないように容器又は袋に詰めた状態で廃棄すること
」とされていたために正しい肢であった。この通達は、本文に示した「保護マスク通達」によって廃止されたが、本肢が正しいという結論に変わりはない。
(2)誤り。平成29年1月12日基発0112第6号「化学防護手袋の選択、使用等について」に「化学防護手袋は、当該化学防護手袋の取扱説明書等に掲載されている耐透過性クラス、その他の科学的根拠を参考として、作業に対して余裕のある使用可能時間をあらかじめ設定し、その設定時間を限度に化学防護手袋を使用させること。なお、化学防護手袋に付着した化学物質は透過が進行し続けるので、作業を中断しても使用可能時間は延長しないことに留意すること
」とされている。従って本肢は誤っている。
(3)正しい。(2)の解説に示した平成29年1月12日基発0112第6号「化学防護手袋の選択、使用等について」に「強度の向上等の目的で、化学防護手袋とその他の手袋を二重装着した場合でも、化学防護手袋は使用可能時間の範囲で使用させること」とされている。従って本肢は正しい。
なお、これは内側の手袋のみについても同じであり、外側の手袋だけを使用可能時間で交換することも許されないことに留意すること。
(4)正しい。これは当然であろう。(1)の解説に示した平成17年2月7日基発第0207006号「防じんマスクの選択、使用等について」にも「しめひもについては、耳にかけることなく、後頭部において固定させること」とある。本肢は正しい。
(5)正しいとしておく。本問出題当時に有効であった、平成17年2月7日基発第0207007号「防毒マスクの選択、使用等について」に、「防毒マスクを着用しての作業は、通常より呼吸器系等に負荷がかかることから、呼吸器系等に疾患がある者については、防毒マスクを着用しての作業が適当であるか否かについて、産業医等に確認すること
」とされていた。
この通達は、「保護マスク通達」によって廃止され、「保護マスク通達」にはこの記述は存在していない。呼吸器系に疾患のある労働者については、電動ファン付き呼吸用保護具を着用させるべきという観点から削除された可能性はある(※)が、必ずしも誤りとはいえないので正しいとしておく。
※ 同じように「保護マスク通達」によって廃止された平成17年2月7日基発第0207006号「防じんマスクの選択、使用等について」には、本肢のような記述はなかった。そして、防じんマスクについては、この通達が有効だった時期にすでに電動ファン付き防じんマスクが法令に位置付けられていたのである。明示されていたわけではないが、電動ファン付き防じんマスクを着用させるべきという観点から、このような記述がなかった可能性はある。