労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生一般 問24

腰痛予防対策




問題文
トップ
合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2018年度(平成30年度) 問24 難易度 やや正誤に迷う肢もあるが、全体として常識的な判断で正答できる問題である。
腰痛予防対策

問24 次の記述のうち、腰痛予防対策として適切でないものはどれか。

(1)椅子の肘掛けに肘を置いてキーボード入力を行った。

(2)座位姿勢をなるべく継続できるように、いくつかの座位作業を組み合わせた。

(3)床にある荷物をやむを得ず人力で持ち上げるに当たり、膝を曲げて腰を下ろして荷物を抱え、膝を伸ばしながら持ち上げた。

(4)ストレッチャーを引っ張るのではなく押して移動した。

(5)年齢20歳、体重65kgの男性労働者に対して、人力のみで取り扱う物の重量の上限を25kgと設定した。

正答(2)

【解説】

(1)適切である。椅子のひじ掛けに肘を置いてキーボード入力を行うことにより、腕への負担を軽減することができる。本肢は適切である。

なお、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は椅子の要件として、「必要に応じて適当な長さの肘掛けを有していること」とされている。

(2)適切ではない。「職場における腰痛予防対策指針」においても「立位、椅座位等において、同一姿勢を長時間取らないようにすること。具体的には、長時間の立位作業では、片足を乗せておくことのできる足台や立位のまま腰部を乗せておくことのできる座面の高い椅子等を利用し、長時間の座位作業では、適宜、立位姿勢を取るように心がける」とされている。本肢は誤っている。

(3)適切である。厚生労働省が作成した「職場における腰痛予防対策指針及び同解説」において「床面等から荷物を持ち上げる場合は、片足を少し前に出し、膝を曲げてしゃがむように抱え、この姿勢から膝を伸ばすようにすることによって、腰ではなく脚・膝の力で持ち上げる」とされている。本肢は適切である。(指針別紙中の「I 重量物取扱い作業」4の(3)参照)

看護師2名でストレッチャーを運ぶ

©看護roo!

図をクリックすると拡大します

(4)適切である。台車やストレッチャーは引くよりも押す方が、体に無理な力がかからず負担が少ない。

なお、そもそもストレッチャーは患者の表情を確認できるように頭部を後ろ側にして、押すのが原則である。引いたのでは、患者の状態が確認できないからである。

また、医療機関などで、患者を載せたストレッチャーを運ぶ場合、2人の看護師が行い、前側(進行方向側)の看護師は進む方向を向いてストレッチャーを操作する役割を果たし、後ろ側の看護師が患者の表情を確認しながらストレッチャーを押す。ストレッチャーを1人の看護師が押したり引いたりして運ぶことなど考えられない。

(5)適切である。「職場における腰痛予防対策指針」において「満18 歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね40%以下となるように努めること」とされている。65kgの40%は26kgであり、とくに問題はない。

2019年12月01日執筆 2020年01月19日修正