労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生一般 問21

GHS




問題文
トップ
合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2018年度(平成30年度) 問21 難易度 GHSに関するかなり高度な知識問題である。化学物質管理の経験がなければかなりの難問だろう。
GHS(全般)

問21 「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」における有害性の項目に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)急性毒性は、物質の経口または経皮からの単回投与、あるいは24時間以内に与えられる複数回投与ないしは4時間の吸入ばく露によって起こる有害な影響をいう。

(2)皮膚腐食性とは、皮膚に対する不可逆的な損傷を生じさせることをいう。

(3)眼に対する重篤な損傷性とは、眼の表面に試験物質を付着させることによる、眼の組織損傷の生成、あるいは重篤な視力低下で、付着後21日以内に完全には治癒しないものをいう。

(4)発がん性とは、細胞または生物の集団における突然変異の発生を増加させることをいう。

(5)生殖毒性には、雌雄の成体の生殖機能及び受精能力に対する悪影響に加えて、子の発生毒性も含まれる。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)(改訂6版)」113ページによれば、「急性毒性は、物質の経口または経皮からの単回投与、あるいは24時間以内に与えられる複数回投与ないしは4時間の吸入ばく露によっておこる有害な影響をいう」とされている。従って本肢は正しい。

(2)正しい。同改訂6版125ページによれば、「皮膚腐食性とは皮膚に対する不可逆的な損傷を生じさせることである。即ち、試験物質の4時間以内の適用で、表皮を貫通して真皮に至る明らかに認められる壊死である。腐食反応は潰瘍、出血、出血性痂皮により、また14日間の観察での、皮膚脱色による変色、付着全域の脱毛、および瘢痕によって特徴づけられる」とされている。従って本肢は正しい。

腐食性は非可逆、刺激性は可逆と覚えておく。

(3)正しい。同改訂6版137ページによれば、「眼に対する重篤な損傷性とは、眼の表面に試験物質を付着させることによる、眼の組織損傷の生成、あるいは重篤な視力低下で、付着後21 日以内に完全には治癒しないものをいう」とされている。従って本肢は正しい。

(4)誤り。同改訂6版159ページでは、「細胞または生物の集団における突然変異の発生を増加させる物質」は「変異原性および変異原性物質」とされている。従って本肢は誤りである。

なお、同改訂6版には、「発がん性」そのものについての記述はない。「発がん性物質」については「がんを誘発するか、またはその発生率を増加させる物質あるいは混合物を意味する」との表現がある。

(5)正しい。同第6版には「生殖毒性には、雌雄の成体の生殖機能および受精能力に対する悪影響に加えて、子の発生毒性も含まれる」とされている。従って本肢は正しい。

2019年12月01日執筆 2020年01月19日修正