労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生一般 問20

職場における腰痛予防対策指針




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問20 難易度 知識問題だが、腰痛予防対策指針は頻出事項である。確実に正答しなければならない問題である。
腰痛予防対策指針

問20 厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、年齢、性別を問わず体重のおおむね40%以下となるよう努める。

ロ 入浴介助などにおいては、原則として人力による対象者の抱上げは行わせない。

ハ 腰痛多発職場では腰部保護ベルトを全員に使用させる。

ニ 重量物取扱い作業、介護・看護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者を対象に腰痛の健康診断を実施する。

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)ロ   ハ

(4)ロ   ニ

(5)ハ   ニ

正答(4)

【解説】

本問は、設問にあるように「職場における腰痛予防対策指針及び解説」からの知識問題である。以下により正答は(4)となる。

イ 誤り。満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね40%以下となるように努め、満18歳以上の女子労働者では、さらに男性が取り扱うことのできる重量の60%位までとする。(指針別紙「作業態様別の対策」中の「Ⅰ 重量物取扱い作業」2の(3)参照)

ロ 正しい。移乗介助、入浴介助及び排泄介助における対象者の抱上げは、労働者の腰部に著しく負担がかかることから、全介助の必要な対象者には、リフト等を積極的に使用することとし、原則として人力による人の抱上げは行わせない。(指針別紙「作業態様別の対策」中の「Ⅳ 福祉・医療分野等における介護・看護作業」3の(3)イ参照)

ハ 誤り。腰部保護ベルトは、個人により効果が異なるため、一律に使用するのではなく、個人毎に効果を確認してから使用の適否を判断する。(指針「2 作業管理」(6)ハ参照)

なお、腰痛保護ベルトは、装着することで腹圧上昇や骨盤補強効果などで腰痛の予防効果を狙ったものとされるが、腰部保護ベルトの腹圧を上げることによる体幹保持の効果については、見解が分かれている。職場では、装着により効果を感じられることもあるが、腰痛がある場合に装着すると外した後に腰痛が強まるということもある。また、女性労働者が、従来から用いられてきた幅の広い治療用コルセットを使用すると骨盤底への負担を増し、子宮脱や尿失禁が生じやすくなる場合があるとされている。このことから、腰部保護ベルトを使用する場合は、労働者全員が一律に使用するのではなく、労働者に腰部保護ベルトの効果や限界を理解させるとともに、必要に応じて産業医(又は整形外科医、産婦人科医)に相談することが適当である。

ニ 正しい。重量物取扱い作業、介護・看護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次のとおり医師による腰痛の健康診断を実施する。(指針「4 健康管理」(1)参照)

2019年12月01日執筆 2020年01月19日修正