労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生一般 問13

呼吸と循環




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問13 難易度 医師でないと正答は難しいのではないか。医師以外の受験生は捨て問と考えてもよいだろう。
呼吸と循環

問13 呼吸と循環に関連する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)COPD(慢性閉塞性肺疾患)では、スパイロメトリーによる1秒率が低下する。

(2)睡眠中に無呼吸が起きると、動脈中二酸化炭素分圧が上昇する。

(3)虚血性心疾患は、運動負荷心電図によって判定できる。

(4)収縮期血圧が140~159mmHgの場合、Ⅰ度高血圧とされる。

(5)下肢の静脈にできた血栓が肺静脈に詰まると、肺血栓塞栓症が生じる。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。COPDでは、スパイロメトリーによる1秒率が低下する。本肢は正しい。

なお、COPDの診断には、気管支拡張薬を吸入したあとのスパイロメトリーによる1秒率(最初の1秒間ではける量÷最大努力で呼出した時にはける全体量)を測定し、これが70%未満で、閉塞性障害をきたすその他の疾患がなければCOPDと診断する。

(2)正しい。睡眠中に無呼吸が起きると、その結果として体内で産生した二酸化炭素が充分に体外に出せなくなる。このため、動脈血中の二酸化炭素分圧が高くなる。本肢は正しい

(3)正しい。虚血性心疾患の診断には、運動負荷心電図などが用いられることはその通りである。また(5)が明らかに誤っているので、本肢は正しいということのようだ。

【本肢に対する疑問点】

しかしながら、虚血性心疾患は、運動負荷心電図だけで確実に判定できるだろうか。24時間心電図、心臓超音波検査、冠動脈造影検査など、さまざまな検査によって診断する必要があろう。従って、本肢が「できる」と言い切っていることには疑問を感じる。

(4)正しい。Ⅰ度高血圧とは、収縮期血圧140−159mmHg、拡張期血圧90−99mmHgのことをいう。従って本肢は正しい。

(5)誤り。肺血栓塞栓症とは、肺動脈に血栓(血液の塊)が詰まる疾病のことである。従って本肢は誤っている。なお、この血栓の9割以上は下肢の静脈内でできたものによって起きる。

2019年12月01日執筆 2020年01月18日修正