問08 職場における熱ストレスなどに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)WBGT値は、熱ストレスを数値化して評価する指標であり、屋外で太陽照射のある作業場については、自然気流下の湿球温度と黒球温度によって計算される。
(2)熱ストレスに強く影響するエネルギー代謝率(RMR)は、作業時間中のエネルギー総消費量と基礎代謝量の比である。
(3)熱中症は、業務上疾病の中で物理的因子による疾病に分類され、屋外での熱ストレスが最も影響するため、建設業における熱中症の死傷者数は全体の半数以上を占めている。
(4)熱中症が懸念される屋外作業場における作業環境管理では、WBGT値の低減、休憩場所の整備などが必要である。
(5)熱疲労(Ⅱ度の熱中症)では、長時間にわたる発汗によって体内の水分と塩分が喪失し、脱水症状、顔面の蒼白化、全身倦怠感、めまい、吐き気や嘔吐、頭痛のほか、明らかな体温上昇がみられる。
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問08 | 難易度 | やや高度な知識問題のように見えるが、実際は常識問題である。確実に正答できなければならない。 |
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職場における熱ストレス | 1 |
問08 職場における熱ストレスなどに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)WBGT値は、熱ストレスを数値化して評価する指標であり、屋外で太陽照射のある作業場については、自然気流下の湿球温度と黒球温度によって計算される。
(2)熱ストレスに強く影響するエネルギー代謝率(RMR)は、作業時間中のエネルギー総消費量と基礎代謝量の比である。
(3)熱中症は、業務上疾病の中で物理的因子による疾病に分類され、屋外での熱ストレスが最も影響するため、建設業における熱中症の死傷者数は全体の半数以上を占めている。
(4)熱中症が懸念される屋外作業場における作業環境管理では、WBGT値の低減、休憩場所の整備などが必要である。
(5)熱疲労(Ⅱ度の熱中症)では、長時間にわたる発汗によって体内の水分と塩分が喪失し、脱水症状、顔面の蒼白化、全身倦怠感、めまい、吐き気や嘔吐、頭痛のほか、明らかな体温上昇がみられる。
正答(4)
【解説】
(1)誤り。WBGTの屋外における算出式は、
WBGT(℃)=0.7×湿球温度 + 0.2×黒球温度 + 0.1×乾球温度
である。すなわち、屋外においては乾球温度もWBGTの算出に必要である。従って本肢は誤りである。
(2)誤り。エネルギー代謝率は、作業時間中の総エネルギー代謝量から安静時のエネルギー代謝量を減じたものと、基礎代謝量の比である。
(3)誤り。熱中症が、業務上疾病の中で物理的因子による疾病に分類されることは正しい。しかし、平成29年の休業4日以上の熱中症の労働災害は544件であり、そのうち建設業では144件が発生している。
やや、詳細な内容について問う肢であるが、次の肢が明らかに正しいので、本問は間違えようがない。
(4)正しい。これは当然のことを言っている。あまりにも当然のことなので、なにかひっかけがあるのかとかえって迷うかもしれない。だが、どう見ても誤りのわけはあるまい。こんな問題にひっかかってはいけない。
(5)誤り。熱疲労がⅡ度の熱中症であることは正しい。しかし、Ⅱ度の熱中症の症状は「頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感」であり、体がぐったりする、力が入らない等の「いつもと様子が違う」程度のごく軽い意識障害を認めることがある。本肢の症状はⅢ度の熱中症である。
※ なお、熱中症の重症度をⅠ度からⅢ度までに分類するのは、日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン 2015」で紹介された「熱中症重症度分類 2015」によっている。同学会は、「熱中症診療ガイドライン 2024」(5ページ以降)において、熱中症の重症度をⅠ度からⅣ度までに分類する新しい分類法を公表している。