労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生一般 問07

チェーンソー取扱い作業指針




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問07 難易度 振動業務による健康障害防止についての基本的な知識問題である。確実に正答しなければならない。
チェーンソー取扱い作業

問07 厚生労働省の「チェーンソー取扱い作業指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)チェーンソーの選定においては、振動及び騒音ができる限り少なく、重量の大きいものを選ぶ。

(2)振動ばく露限界時間は、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値の二乗に反比例する。

(3)下草払い、小枝払い等は、手鋸、手おの等を用い、チェーンソーの使用をできる限り避ける。

(4)作業の途中で移動する際は、チェーンソーの運転を止める。

(5)防振手袋、耳栓等の保護具を支給する。

正答(1)

【解説】

(1)適切ではない。「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」(平成21年7月10日付基発0710第1号)の別添2「チェーンソー取扱い作業指針」(以下本問の解説において「作業指針」という。)の「第1 事業者の措置」の1の(1)には、チェーンソーの選択について「防振機構内蔵型で、かつ、振動及び騒音ができる限り少ないものを選ぶ」とされている。従って本肢は適切ではない。

質量が大きいと振動しにくいので良いと思うかもしれないが、作業指針に「大型の重いチェーンソーを用いる場合は、1日の振動ばく露時間及び一連続の振動ばく露時間を更に短縮すること」という記述があることからも分かるように、重量の大きなものは好ましくない。

(2)適切である。日振動ばく露時間A(8) についての次式はよく知られている。

日振動ばく露時間:A8=a×T8

ここで、aは周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値[m/s2]であり、Tは1日当たりの振動ばく露時間である。

作業指針第1の3の(2)によれば、このA(8)を「日振動ばく露限界値」である5[m/s2]を超えないように1日の振動ばく露時間を定めることとされているので、

1日の振動ばく露限界時間=8×5a2

となる。従って本肢は正しいということになろう。

ただ、日振動ばく露限界値に対応した1日の振動ばく露時間(振動ばく露限界時間)が2時間を越える場合、当面、1日の振動ばく露時間を2時間以内とするとされているので、やや疑問は残る。

(3)適切である。作業指針の第1の4(1)に「下草払い、小枝払い等は、手鋸、手おの等を用い、チェーンソーの使用をできる限り避けること」とある。

(4)適切である。作業指針の第1の4(3)に「移動の際はチェーンソーの運転を止め、かつ、使用の際には高速の空運転を極力避けること」とある。従って、本肢は正しい。

(5)適切である。作業指針の第1の8(5)に「防振手袋、耳栓等の保護具を支給すること」とある。

2019年12月01日執筆 2020年01月13日修正