問02 有害物質の性状、空気中での状態などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)一般に、ミストはヒュームの一次粒子に比べて粒径が小さい。
(2)金属の蒸気などが空気中で凝固、化学変化を起こし、固体の粒子として空気中に浮遊しているものをヒュームという。
(3)空気中の有機溶剤の体積分率0.1%は、1,000 ppmに相当する。
(4)有機溶剤の中には、脂溶性と水溶性の双方の性質を示すものがある。
(5)粉じん粒子の空気力学相当径とは、その粒子と同じ終末沈降速度をもつ密度1g/cm3の球形粒子の直径である。
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問02 | 難易度 | 化学物質の常温・常圧における性状を問う問題。やや高度な知識問題と言えよう。難問と言える。 |
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有害物質の性状 | 4 |
問02 有害物質の性状、空気中での状態などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)一般に、ミストはヒュームの一次粒子に比べて粒径が小さい。
(2)金属の蒸気などが空気中で凝固、化学変化を起こし、固体の粒子として空気中に浮遊しているものをヒュームという。
(3)空気中の有機溶剤の体積分率0.1%は、1,000 ppmに相当する。
(4)有機溶剤の中には、脂溶性と水溶性の双方の性質を示すものがある。
(5)粉じん粒子の空気力学相当径とは、その粒子と同じ終末沈降速度をもつ密度1g/cm3の球形粒子の直径である。
正答(1)
【解説】
(1)誤り。ヒュームは気化した固体が空気中で凝固したもので、形状は球状か結晶状である。粒径は小さく1μm以下のものが多い。一方、ミストは微小な液体粒子であり、液体が蒸発凝縮したものや、液面の破砕や噴霧などにより分散したものなどである。サブミクロンから約20μmまでの広がりをもつ。
他の肢が明らかに正しいので、本肢が誤りとなるのであろう。設問の「一般に」という言葉は、批判を受けた場合に備えての出題者側の「保険」のようなものかもしれない。
(2)正しい。ヒュームの定義そのものである。
(3)正しい。【ppm】とは【100万分率】の単位を意味する。一方の【%】が【100分率】であることは分かるであろう。従って、同じ濃度を【ppm】で表したときと【%】で表したときは、数値は1万倍の違いとなる。
(4)正しい。有機溶剤は脂溶性の溶剤であるが、メタノール、アセトンなどは脂溶性とともに水溶性をも有する。
なお、以下の2点も覚えておく必要がある。
① ヘキサン、ジクロロメタン等は水溶性を示さない。
② 脂溶性と水溶性を合わせて有するものはとくに経皮吸収されやすい。
(5)正しい。本肢は「空気力学相当径」の定義である。「空気動力学径」と呼ばれることもある。
なお、同じような概念で「ストークス径」があるが、これは密度1g/cm3の球形粒子ではなく、その粒子と同じ密度をもつ球形粒子の径である。