問15 特定化学物質の製造等に係る措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)特別管理物質を製造しようとする者は、当該物質を製造するプラントごとに、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
(2)特定第二類物質又はオーラミン等を製造する設備については、原則として、密閉式の構造のものとしなければならない。
(3)管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんが発散する屋内作業場については、原則として、当該物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
(4)特別有機溶剤業務に労働者を従事させる場合、作業場所に設置すべき局所排気装置等の設備については、有機溶剤中毒予防規則の規定を準用する。
(5)第三類物質を製造する特定化学設備については、そのバルブ又はコックを除き、当該物質が接触する部分については、当該物質の種類、温度、濃度等に応じ、腐食しにくい材料で造り、内張りを施す等の措置を講じなければならない。
このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2017年度(平成29年度) | 問15 | 難易度 | 特定化学物質障害予防規則に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。 |
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特定化学物質の製造 | 1 |
問15 特定化学物質の製造等に係る措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)特別管理物質を製造しようとする者は、当該物質を製造するプラントごとに、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
(2)特定第二類物質又はオーラミン等を製造する設備については、原則として、密閉式の構造のものとしなければならない。
(3)管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんが発散する屋内作業場については、原則として、当該物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
(4)特別有機溶剤業務に労働者を従事させる場合、作業場所に設置すべき局所排気装置等の設備については、有機溶剤中毒予防規則の規定を準用する。
(5)第三類物質を製造する特定化学設備については、そのバルブ又はコックを除き、当該物質が接触する部分については、当該物質の種類、温度、濃度等に応じ、腐食しにくい材料で造り、内張りを施す等の措置を講じなければならない。
正答(1)
【解説】
(1)誤り。このような規定はない。
なお、安衛法第56条の規定により厚生労働大臣の許可を得なければならない物質は、安衛令第17条により第一類特定化学物質等であり、その許可は特化則第48条の規定により当該物を製造するプラントごとに行なうものとされている。
【労働安全衛生法】
(製造の許可)
第56条 ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
2 (以下略)
【労働安全衛生法施行令】
(製造の許可を受けるべき有害物)
第17条 法第五十六条第一項の政令で定める物は、別表第三第一号に掲げる第一類物質及び石綿分析用試料等とする。
【特定化学物質障害予防規則】
(製造の許可)
第48条 法第五十六条第一項の許可は、令別表第三第一号に掲げる物ごとに、かつ、当該物を製造するプラントごとに行なうものとする。
(2)正しい。特化則第4条第1項により、特定第二類物質又はオーラミン等を製造する設備については、事業者は密閉式の構造のものとしなければならないとされている。また、同第3項により、製造する特定第二類物質等を計量し、容器に入れ、又は袋詰めする作業を行う場合において、製造する設備を密閉式とすることが著しく困難なときは、その作業でその特定第二類物質等が作業中の労働者の身体に直接接触しない方法により行い、かつ、その作業を行う場所に囲い式フードの局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならないとされている。本肢は、原則として密閉式の構造のものとしなければならないとしており、正しい。
【特定化学物質障害予防規則】
(第二類物質の製造等に係る設備)
第4条 事業者は、特定第二類物質又はオーラミン等(以下「特定第二類物質等」という。)を製造する設備については、密閉式の構造のものとしなければならない。
2 (略)
3 事業者は、その製造する特定第二類物質等を計量し、容器に入れ、又は袋詰めする作業を行う場合において、前二項の規定によることが著しく困難であるときは、当該作業を当該特定第二類物質等が作業中の労働者の身体に直接接触しない方法により行い、かつ、当該作業を行う場所に囲い式フードの局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
(3)正しい。特化則第5条第1項本文は、管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんが発散する屋内作業場については、管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならないとしている。そして但し書きにおいて、その管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置が著しく困難なとき、又は臨時の作業を行うときは、この限りでないとしている。
【特定化学物質障害予防規則】
第5条 事業者は、特定第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんが発散する屋内作業場(特定第二類物質を製造する場合、特定第二類物質を製造する事業場において当該特定第二類物質を取り扱う場合、燻蒸作業を行う場合において令別表第三第二号5、15、17、20若しくは31の2に掲げる物又は別表第一第五号、第十五号、第十七号、第二十号若しくは第三十一号の二に掲げる物(以下「臭化メチル等」という。)を取り扱うとき、及び令別表第三第二号30に掲げる物又は別表第一第三十号に掲げる物(以下「ベンゼン等」という。)を溶剤(希釈剤を含む。第三十八条の十六において同じ。)として取り扱う場合に特定第二類物質のガス、蒸気又は粉じんが発散する屋内作業場を除く。)又は管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんが発散する屋内作業場については、当該特定第二類物質若しくは管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。ただし、当該特定第二類物質若しくは管理第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置が著しく困難なとき、又は臨時の作業を行うときは、この限りでない。
2 (略)
(4)正しい。特別有機溶剤について、特化則第38条の8は、有機則の第1章から第3章まで、第4章(第19条及び第19条の2を除く。)及び第7章の規定を準用している。そして有機則にいては、局所排気装置等については、第2章、第3章及び第4章(ただし、第19条及び第19条の2は作業主任者に関する規定である)に規定されている。
(5)正しい。特化則第13条は「事業者は、特定化学設備(令第九条の三第二号の特定化学設備をいう。以下同じ。)(特定化学設備のバルブ又はコックを除く。)のうち特定第二類物質又は第三類物質(以下この章において「第三類物質等」という。)が接触する部分については、著しい腐食による当該物質の漏えいを防止するため、当該物質の種類、温度、濃度等に応じ、腐食しにくい材料で造り、内張りを施す等の措置を講じなければならない」としている。
【特定化学物質障害予防規則】
(腐食防止措置)
第13条 事業者は、特定化学設備(令第九条の三第二号の特定化学設備をいう。以下同じ。)(特定化学設備のバルブ又はコックを除く。)のうち特定第二類物質又は第三類物質(以下この章において「第三類物質等」という。)が接触する部分については、著しい腐食による当該物質の漏えいを防止するため、当該物質の種類、温度、濃度等に応じ、腐食しにくい材料で造り、内張りを施す等の措置を講じなければならない。