労働衛生コンサルタント試験 2017年 労働衛生関係法令 問08

労働安全衛生法に定める安全衛生教育




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 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年度(平成29年度) 問08 難易度 安衛法上の安全衛生教育に関する知識問題。やや細かな内容を聞いている。難問の部類だろう。
安衛法上の安全衛生教育

問8 安全衛生教育に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、安全管理者、衛生管理者、衛生推進者等に対し、これらの者が従事する業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等を行い、又はこれらを受ける機会を与えるように努めなければならない。

(2)事業者は、特別教育等の所定の教育を行うほか、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない。

(3)清掃業の事業者は、雇入れ時の教育の実施に当たっては、作業開始時の点検に関する事項についての教育を省略することができる。

(4)事業者は、特別教育の科目の一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる。

(5)建設業の事業者は、新たに職務につくこととなった職長(作業主任者を除く。)に対し、作業方法の決定及び労働者の配置に関すること等について、安全又は衛生のための教育を行わなければならない。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。安衛法第19条の2第1項は「事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に対し、これらの者が従事する業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等を行い、又はこれらを受ける機会を与えるように努めなければならない」とする。

【労働安全衛生法】

(安全管理者等に対する教育等)

第19条の2 事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に対し、これらの者が従事する業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等を行い、又はこれらを受ける機会を与えるように努めなければならない。

 (以下略)

(2)正しい。安衛法第60条の2第1項は「事業者は、前二条に定めるもののほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない」とする。

【労働安全衛生法】

第60条の2 事業者は、前二条に定めるもののほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない。

 (以下略)

(3)誤り。雇入れ時等の教育について定める安衛則第35条第1項には、「作業開始時の点検に関すること」についての教育を省略することができるという規定はない。

なお、出題当時は、雇入れ時等の教育について定める安衛則第35条第1項に但書きがあり、安衛令第2条第3号の業種の事業場の労働者については、「作業開始時の点検に関すること」など4項目の事項の教育を省略することができた。しかし、清掃業は安衛令第2条第1号の業種に該当するため、出題当時も省略の対象とはなっていなかったので、誤りの肢であった。

現時点では、同条の但書きは省令改正によって削除されており、どちらにしても誤っている。

【労働安全衛生法施行令】

(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)

第2条 (略)

 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 百人

 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 三百人

 その他の業種 千人

【労働安全衛生規則】

(雇入れ時等の教育)

第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。

一~三 (略)

 作業開始時の点検に関すること。

五~八 (略)

 (略)

※ 安衛則第35条第1項は、2024年(令和6年)3月 31 日まで、次のように但書があった。

(雇入れ時等の教育)

第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。ただし、令第二条第三号に掲げる業種の事業場の労働者については、第一号から第四号までの事項についての教育を省略することができる。

一~八 (略)

 (略)

(4)正しい。安衛則第37条は、事業者は、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができるとしている。

【労働安全衛生規則】

(特別教育の科目の省略)

第37条 事業者は、法第五十九条第三項の特別の教育(以下「特別教育」という。)の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる。

(5)正しい。安衛法第60条は、「事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない」と規定している。そして、この教育が必要となる政令で定める業種は、安衛令第19条で、建設業などの業種が定められている。

【労働安全衛生法】

第60条 事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。

二及び三 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(職長等の教育を行うべき業種)

第19条 法第六十条の政令で定める業種は、次のとおりとする。

 建設業

二~六 (略)

2017年11月03日執筆 2020年03月01日修正