問7 労働安全衛生規則に規定されている健康診断に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)事業者は、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目については、雇入時の健康診断を省略することができる。
(2)定期健康診断の項目中、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査及び心電図検査は、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができる項目に含まれている。
(3)事業者は、定期健康診断の結果に基づいて医師から意見聴取を行う場合は、定期健康診断が行われた日(事業者が指定していない医師が行った健康診断を労働者が受けた場合は、当該健康診断結果の書面を事業者に提出した日)から3か月以内に意見聴取を行わなければならない。
(4)事業者は、定期健康診断を受けた労働者に対し、3か月以内に当該健康診断の結果を通知しなければならない。
(5)事業者は、定期健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。
このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2017年度(平成29年度) | 問07 | 難易度 | 安衛則上の健康診断に関する知識問題。合否を分けた問題ではないか。正答できるようにしたい問題。 |
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健康診断(全般) | 4 |
問7 労働安全衛生規則に規定されている健康診断に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)事業者は、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目については、雇入時の健康診断を省略することができる。
(2)定期健康診断の項目中、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査及び心電図検査は、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができる項目に含まれている。
(3)事業者は、定期健康診断の結果に基づいて医師から意見聴取を行う場合は、定期健康診断が行われた日(事業者が指定していない医師が行った健康診断を労働者が受けた場合は、当該健康診断結果の書面を事業者に提出した日)から3か月以内に意見聴取を行わなければならない。
(4)事業者は、定期健康診断を受けた労働者に対し、3か月以内に当該健康診断の結果を通知しなければならない。
(5)事業者は、定期健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。
正答(4)
【解説】
(1)正しい。雇入れ時の健康診断について定める安衛則第43条は、その但し書きにおいて、「ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない」と定める。
【労働安全衛生規則】
(雇入時の健康診断)
第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一~十一 (略)
(2)正しい。厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができる項目は、同第44条第2項に「身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査」「胸部エックス線検査及び喀痰検査」「貧血検査」「肝機能検査」「血中脂質検査」「血糖検査」及び「心電図検査」が定めてある。
【労働安全衛生規則】
(定期健康診断)
第44条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀痰検査
五 血圧の測定
六 貧血検査
七 肝機能検査
八 血中脂質検査
九 血糖検査
十 尿検査
十一 心電図検査
2 第一項第三号、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
3 (以下略)
(3)正しい。健康診断の結果についての医師等からの意見聴取については、同51条の2に「第43条等の健康診断が行われた日(中略)から3月以内に行うこと」と定められている。そして、ここにいう「第43条等の健康診断」には、同第51条により同第44条の定期健康診断が含まれている。
【労働安全衛生法】
(健康診断)
第66条 (略)
2~4 (略)
5 労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
【労働安全衛生規則】
(定期健康診断)
第44条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一~十一 (略)
2 (以下略)
(健康診断結果の記録の作成)
第51条 事業者は、第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第四十八条までの健康診断若しくは法第六十六条第四項の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第五項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第四十三条等の健康診断」という。)又は法第六十六条の二の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票(様式第五号)を作成して、これを五年間保存しなければならない。
(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第51条の2 第四十三条等の健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師又は歯科医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。
一 第四十三条等の健康診断が行われた日(法第六十六条第五項ただし書の場合にあつては、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から三月以内に行うこと。
二 (略)
2 (以下略)
(4)誤り。事業者は同第51条の4の規定に基づき「・・・第四十四条・・(中略)・・健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない」とある。なお、第44条の健康診断とは一般の定期健康診断のことである。
そして、平成18年2月24日基発第0224003号「労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について」の「Ⅳ 労働安全衛生規則関係」の「第2 細部事項」の11の(2)によれば、「遅滞なく」とは、事業者が、健康診断を実施した医師、健康診断機関等から結果を受け取った後、速やかにという趣旨であること」とされており、特に具体的な期日は定められていない。しかしながら、3か月が「速やかに」とはいえないであろう。従って3か月とする本肢は誤っている。
【労働安全衛生規則】
(定期健康診断)
第44条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一~十一 (略)
2 (以下略)
(健康診断の結果の通知)
第51条の4 事業者は、法第六十六条第四項又は第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第四十八条までの健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。
(5)正しい。安衛法第66条の7には、「事業者は、第66条第1項の規定による健康診断若しくは当該健康診断に係る同条第5項ただし書の規定による健康診断又は第66条の2の規定による健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない」と定められている。そして、安衛法第66第1項による健康診断には定期健康診断が含まれる。
【労働安全衛生法】
(健康診断)
第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
2 (以下略)
(保健指導等)
第66条の7 事業者は、第六十六条第一項の規定による健康診断若しくは当該健康診断に係る同条第五項ただし書の規定による健康診断又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。
2 (略)