労働衛生コンサルタント試験 2017年 労働衛生一般 問13

物理的因子と障害の部位




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 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年度(平成29年度) 問13 難易度 物理的因子と障害の部位を問う問題である。医師以外の受験生には正答は難しかったかっもしれない。
物理的因子と障害の部位

問13 物理的因子と障害の部位との次の組合せのうち、適切でないものはどれか。

(1) 騒音 ‥‥ 三半規管
(2) 赤外線 ‥‥ 水晶体
(3) 電離放射線 ‥‥ 骨髄
(4) 振動 ‥‥ 末梢神経
(5) 減圧 ‥‥ 中枢神経

正答(1)

【解説】

(1)誤り。騒音は内耳に影響を与え難聴の原因となるが、三半規管が障害を受けるようなことはない。

(2)正しい。受験対策としては、赤外線は物を発熱させる効果があるため、水晶体の温度を上げ、剥脱を起こして白内障を生じると覚えておけばよい。小島正美他「赤外線曝露による眼内の三次限熱動態解析」(2013年度完成)によれば、「赤外線A波は虹彩・毛様体、網膜などで発熱し、この熱が2次的に水晶体伝達されて白内障が生じた。一方、赤外線B波、C波は角膜で吸収されて発熱した熱が、房水の対流により水晶体に伝達されて、白内障が生じた」とされている。

なお、強い赤外線にばく露すると、極端な場合は網膜火傷を引き起こすこともある。

(3)正しい。労働基準法施行規則別表第1の2のいわゆる職業病リストの第7号の13に「離放射線にさらされる業務による白血病、肺がん、皮膚がん、骨肉腫、甲状腺がん、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫」とある。

なお、このリストの多発性骨髄腫と非ホジキンリンパ腫は、2009年に追加されたものである。

(4)正しい。これは解説するまでもないだろう。局所振動による障害は、末梢循環障害、末梢神経障害それに運動器(骨・関節系)障害の3障害から構成されている。

なお、フォークリフト運転業務などの全身振動による影響として一過性の自律神経機能失調状態があり、障害として腰痛や内臓機能障害などが指摘されていることも覚えておいた方がよい。

(5)正しい。減圧による障害のひとつに、肺胞破裂による動脈ガス塞栓症という病態があるが、この動脈ガス塞栓症は、関節や筋肉痛あるいは皮膚発赤を示すTypeⅠと呼吸循環器系や中枢神経系の障害であるTypeⅡがある。

2019年12月01日執筆 2020年03月15日修正