労働衛生コンサルタント試験 2017年 労働衛生一般 問12

メンタルヘルス指針




問題文
トップ
合格

 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2017年度(平成29年度) 問12 難易度 事業場の健康管理についての基本が理解できているかを問う問題である。正答できなければならない。
メンタルヘルス指針

問12 厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、産業医の役割として示されていないものは、次のうちどれか。

(1)労働者の適正配置に関して決定すること。

(2)事業場の心の健康づくり計画に基づく対策の実施状況を把握すること。

(3)就業上の配慮に関して事業者に必要な意見を述べること。

(4)専門的な相談・対応が必要な事例について事業場外資源との連絡調整に関与すること。

(5)長時間労働者等に対する面接指導等を実施すること。

正答(1)

【解説】

労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、産業医等の役割として、次のように記載されている。

【労働者の心の健康の保持増進のための指針】

  産業医等は、労働者の健康管理等を職務として担う者であるという面から、事業場の心の健康づくり計画の策定に助言、指導等を行い、これに基づく対策の実施状況を把握する。また、専門的な立場から、セルフケア及びラインによるケアを支援し、教育研修の企画及び実施、情報の収集及び提供、助言及び指導等を行う。就業上の配慮が必要な場合には、事業者に必要な意見を述べる。専門的な相談・対応が必要な事例については、事業場外資源との連絡調整に、専門的な立場から関わる。さらに、ストレスチェック制度及び長時間労働者等に対する面接指導等の実施並びにメンタルヘルスに関する個人の健康情報の保護についても中心的役割を果たすことが望ましい

従って(1)が誤りである。そもそも産業医が「労働者の適正配置に関して決定すること」はあり得ない。配置を「決定」するのは、事業者や人事労務担当者、ライン管理者などであり、産業医は医学的な立場から勧告するのみである。

なお、ここにいう産業医等とは「産業医その他労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師」をいうとされている。産業医以外の医師としては、指針が策定された当初は地域産業保健センターの医師をイメージしていたが、現在では安衛則第15条の2第2項により選任された医師を合わせてイメージされている。

2019年12月01日執筆 2020年03月15日修正