問30 厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に関する次のイ~ニの記述について、適切でないもののみをすべて挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 現場の職長等が作業内容を詳しく把握していることから、これらの者に、危険性又は有害性の特定、リスクの見積り、リスク低減措置の検討を行わせるとともに、調査等の実施を統括管理させる。
ロ 調査等の実施のため、作業標準、安全データシートなどの資料の入手に当たっては、定常作業と非定常作業が存在する場合、作業量が多い定常作業について資料を入手する。
ハ リスクの見積りに当たり、重篤度については、最悪の状況を想定した最も重篤な負傷又は疾病の重篤度を見積もる。
ニ リスク低減措置の検討においては、防毒マスクの着用と局所排気装置の設置とでは、より確実にリスクを低減するため、防毒マスクの着用を優先して検討する。
(1)イ ロ ハ ニ
(2)イ ロ ニ
(3)イ ハ
(4)ロ
(5)ハ ニ
このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2016年度(平成28年度) | 問30 | 難易度 | リスクアセスメント指針に関する初歩的な知識問題。確実に正答できなければならない。 |
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リスクアセスメント指針 | 1 |
問30 厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に関する次のイ~ニの記述について、適切でないもののみをすべて挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 現場の職長等が作業内容を詳しく把握していることから、これらの者に、危険性又は有害性の特定、リスクの見積り、リスク低減措置の検討を行わせるとともに、調査等の実施を統括管理させる。
ロ 調査等の実施のため、作業標準、安全データシートなどの資料の入手に当たっては、定常作業と非定常作業が存在する場合、作業量が多い定常作業について資料を入手する。
ハ リスクの見積りに当たり、重篤度については、最悪の状況を想定した最も重篤な負傷又は疾病の重篤度を見積もる。
ニ リスク低減措置の検討においては、防毒マスクの着用と局所排気装置の設置とでは、より確実にリスクを低減するため、防毒マスクの着用を優先して検討する。
(1)イ ロ ハ ニ
(2)イ ロ ニ
(3)イ ハ
(4)ロ
(5)ハ ニ
正答(2)
【解説】
本問の本文にあるように、本問は厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(以下、本問の解説において「RA指針」という。)に関する設問である。
以下により(2)が正答となる。
イ 誤り。RA指針の「4 実施体制等」の(1)のアには、「総括安全衛生管理者等、事業の実施を統括管理する者(事業場トップ)に調査等の実施を統括管理させること」とされている。
「統括管理」という用語には、最終的に責任を持つというニュアンスが含まれており、現場の職長に「統括管理」を行わせることはありえないことである。
ロ 誤り。RA指針の「7 情報の入手」の(1)には、「事業者は、調査等の実施に当たり、次に掲げる資料等を入手し、その情報を活用するものとする。入手に当たっては、現場の実態を踏まえ、定常的な作業に係る資料等のみならず、非定常作業に係る資料等も含めるものとする」とされている。
ハ 正しい。RA指針の「9 リスクの見積り」の(2)のイには、「過去に実際に発生した負傷又は疾病の重篤度ではなく、最悪の状況を想定した最も重篤な負傷又は疾病の重篤度を見積もること」とされている。
ニ 誤り。RA指針の「10 リスク低減措置の検討及び実施」の(1)には、リスク低減措置の優先順位が定められているが、「インターロック、局所排気装置等の設置等の工学的対策」は「個人用保護具の使用」より優先させなければならないとされている。
なお、リスク低減措置においては、対策の優先順位を①本質安全化、②工学的対策、③管理的対策、④個人用保護具の順とする。