労働衛生コンサルタント試験 2016年 労働衛生一般 問24

職場における腰痛予防対策指針




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合格

 このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2016年度(平成28年度) 問24 難易度 腰痛予防対策指針は頻出事項であり、本問は基本的な知識問題。確実に正答できなければならない。
腰痛予防対策指針

問24 厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)腰痛には、腰部の痛みのほか、臀部や大腿部の痛みやしびれなどが含まれる。

(2)腰痛の発生要因の一つとして、職場の対人ストレス等の心理・社会的要因がある。

(3)腰部保護ベルトを導入する際には、労働者ごとに効果の有無を確認する。

(4)室温については、立ち作業に比べて座り作業ではやや高めに設定する。

(5)腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対しては、配置後1年以内ごとに1回、定期的に腰痛の健康診断を実施する。

正答(5)

【解説】

本問は、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針(及びその解説)」(以下、本問の解説において「腰痛指針」(解説部は「腰痛指針解説」)という。)からの出題である。

(1)適切である。厚生労働省の「腰痛指針解説」には、「腰痛は、単に腰部の痛みだけではなく、臀部から大腿後面・外側面、さらには、膝関節を越えて下腿の内側・外側から足背部・足底部にわたり痛み、しびれ、つっぱり等が広がるものもある。このことから、本指針における腰痛とは、これらの部位の痛みやしびれ等も含む」とされている。

(2)適切である。「腰痛指針」の「1 はじめに」の最初のパラグラフに、「腰痛の発生要因には(・・・中略・・・)、職場の対人ストレス等に代表される心理・社会的要因がある」とされている。

なお、腰痛の原因の一つに精神的なストレスがあるということは覚えておく必要がある。

(3)適切である。「腰痛指針」の2(6)のハには、「腰部保護ベルトは、個人により効果が異なるため、一律に使用するのではなく、個人毎に効果を確認してから使用の適否を判断すること」とされている。

なお、腰痛予防ベルトやコルセットの腰痛予防の効果については、医学上の論争となっている。また、扱いによっては、かえって腰痛を悪化させるケースもあるといわれる。

(4)適切である。「腰痛指針解説」の「3 作業環境管理」についての「(1)温度」には、温度は「作業強度によって体熱の発生量が異なることから、立って行う軽作業に比べ、座作業ではやや高めに」するとされている。

なお、本肢は「立ち作業」となっており、腰痛指針解説では「立って行う軽作業」となっているが、軽作業でさえ立って行う場合は座作業よりも低めにするのであるから、立って行う重筋労働ではさらに低く設定しなければならない。

(5)適切ではない。「腰痛指針」の4(1)「健康診断」の項には、「重量物取扱い作業、介護・看護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次のとおり医師による腰痛の健康診断を実施すること」とされている。

1年以内ごとに1回とする本肢の記述は誤りである。

2019年12月01日執筆 2020年04月19日修正