問23 作業負荷に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)物理的な負荷量と人間が意識する感覚の強度とは、一般に直線的な比例関係にはない。
(2)VDT 作業による健康障害は、一般に自覚症状より他覚所見の方が先行する。
(3)筋肉が持ち上げることのできるものの重さは、筋線維の数と太さに比例する。
(4)強い力を必要とする運動を続けていると、1本1本の筋線維が太くなり筋力は増す。
(5)さまざまな反射により全身の筋骨格系が協調して働き、姿勢が保持される。
このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2016年度(平成28年度) | 問23 | 難易度 | 作業負荷に関する基本的で、衛生管理者試験の定番問題でもある。確実に正答できなければならない。 |
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作業負荷 | 3 |
問23 作業負荷に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)物理的な負荷量と人間が意識する感覚の強度とは、一般に直線的な比例関係にはない。
(2)VDT 作業による健康障害は、一般に自覚症状より他覚所見の方が先行する。
(3)筋肉が持ち上げることのできるものの重さは、筋線維の数と太さに比例する。
(4)強い力を必要とする運動を続けていると、1本1本の筋線維が太くなり筋力は増す。
(5)さまざまな反射により全身の筋骨格系が協調して働き、姿勢が保持される。
正答(2)
【解説】
(1)正しい。物理学的作業強度の変化に対して、生理学的作業強度及び主観的作業強度がどのように変化するかの関係について、一定の規則性を有することが知られている。ここで主観的作業強度の評価尺度としては、ボルグのRPEを用いることがある。
ボルグらは、自転車エルゴメーターを用いた運動時において、ペダルの抵抗(S)と感覚的な強度(R)との間に、
R = C(S + 175)
の関係があるとしている。なお、Cは定数である。
物理的な抵抗値と、感覚的な強度は比例するわけではない。
(2)誤り。VDT作業、重量物取扱作業、振動工具作業等では、他覚的所見より自覚症状が先行する。なお、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(13頁)には「筋骨格系疾患については、自覚症状が検査所見よりも先行することが多いことに留意すること」とされている。
(3)正しい。筋力は、筋線維が収縮することによるため、その太さと線維の数(従って筋線維全体の太さ)によって決まる。
なお、筋線維には、白筋線維(強く収縮するが持久力はない)、赤筋線維(収縮速度は弱いが持久力がある)、FOG線維(白筋と赤筋の中間的機能を持つ)の3種類があり、筋力はこれらの割合にも依存することとなる。筋線維の数と太さだけで、筋力が定まるわけではないことに留意すること。
(4)正しい。筋力はトレーニングによって、ある程度の増加ができるが、これは筋線維の太さが増すことによる。筋線維の数や種類の割合は変化しない。
(5)正しい。これは説明するまでもあるまい。ヒトは全身の筋活動を制御することにより姿勢制御を可能としている。