労働衛生コンサルタント試験 2016年 労働衛生一般 問21

GHSに準拠した化学物質のラベル表示




問題文
トップ
合格

 このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2016年度(平成28年度) 問21 難易度 GHSラベル表示に関するやや高度な知識問題。合否を分けるレベルだろう。確実に正答したい。
GHSによるラベル表示

問21 「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」に準拠した化学物質のラベル表示に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)危険有害性クラス及び危険有害性区分の注意喚起語として、危険又は警告がある。

(2)危険有害性を示すための標章(絵表示)が9種類定められている。

(3)GHS 分類により危険有害性クラス及び危険有害性区分が決定されない場合は、注意喚起語を記載しなくてもよい。

(4)貯蔵又は取扱い上の注意を記載する。

(5)表示をする者の氏名及び住所は記載しなければならないが、電話番号は記載しなくてもよい。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。GHSの注意喚起語は「危険」と「警告」である。因みに、危険の方が警告よりも危険有害性レベルが高いと考えてよい。

(2)正しい。GHSでは、危険有害性を示すための標章(絵表示)が「感嘆符」を含めて9種類定められている。

(3)正しい。GHSで、危険有害性クラスと危険有害性区分の意味は、下記の表のとおりである。本肢にいう「危険有害性クラス及び危険有害性区分が決定されない場合」の意味が必ずしも明確ではないが、“分類できない”という意味であろう。

“分類できない”とは、「各種の情報源及び自社保有データ等を検索してみたが、分類の判断を行うためのデータが全く、又は分類するに十分な程度に得られなかった場合」のことをいう。そして、この場合は注意喚起語を記載しない。GHSの制度では、“危険有害性がない”場合と“危険有害性の情報がない”場合が等価に扱われると言われるゆえんである。

用語 意味
危険有害性クラス 物理化学的危険性、健康または環境有害性の種類 引火性液体、発がん性、水性環境有害性
危険有害性区分 各危険有害性クラス内の判定基準の区分 区分1、区分2A、区分2B(※)

※ 区分外、分類対象外、分類できないは、厳密には危険有害性区分ではない。

(4)正しい。GHSラベル等の標準的な書式を定めたJIS Z 7253では、6.2.5でラベルに必要な情報として、「注意書き」を挙げる。注意書きは、危険有害性をもつ化学品へのばく露又はその不適切な貯蔵及び取扱いから生じる被害を防止するため、又は最小にするために取るべき推奨措置について規定した文言である。

(5)誤り。JIS Z 7253では、6.2.7でラベルに必要な情報として、「供給者を特定する情報」を挙げる。ラベルには化学品の供給者名を記載する。また、住所及び電話番号もラベルに示す。ファクシミリ番号及び電子メールアドレスを追加記載してもよい。

本肢の「氏名」は「氏名又は名称」が正しく、電話番号も記載しなければならない。従って本肢は誤っている。

2019年12月01日執筆 2020年04月19日修正