問20 光、温熱などの環境に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)輝度は、単位立体角当たり放出される光束を観測方向から見た見かけの面積で割った値で、まぶしさの指標である。
(2)照度は、単位面積当たりに入射する光束であり、明るさの指標である。
(3)作用温度は、不均一な熱環境において放射と対流により熱交換が行われるのと等価な熱交換が行われている周囲の均一温度である。
(4)平均放射温度は、熱放射の指標であり、強制対流の場合には気温、気流速度及び黒球温度から算出される。
(5)相対湿度は、湿り空気中の水蒸気の質量の乾燥空気の質量に対する比である。
このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2016年度(平成28年度) | 問20 | 難易度 | 光、温熱などに関する基本的な知識問題。あまり出題の多くない範囲だが確実に正答しておきたい。 |
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光、温熱などの環境 | 3 |
問20 光、温熱などの環境に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)輝度は、単位立体角当たり放出される光束を観測方向から見た見かけの面積で割った値で、まぶしさの指標である。
(2)照度は、単位面積当たりに入射する光束であり、明るさの指標である。
(3)作用温度は、不均一な熱環境において放射と対流により熱交換が行われるのと等価な熱交換が行われている周囲の均一温度である。
(4)平均放射温度は、熱放射の指標であり、強制対流の場合には気温、気流速度及び黒球温度から算出される。
(5)相対湿度は、湿り空気中の水蒸気の質量の乾燥空気の質量に対する比である。
正答(5)
【解説】
本問は、(3)と(4)がややハイレベルのことが記されているが、(5)は中学生レベルの基本的な内容である。一応、難易度を3にしたが、2でもよいかもしれない。
(1)適切である。文章で書かれると分かりにくいが、本肢は輝度の定義を正しく表現している。本肢は正しい。
輝度L= | 光束Φ[lm] | = | 光度I[cd] | [cd/m2] |
立体角Ω[sr]×単位面積A[m2] | 単位面積A[m2] |
(2)適切である。本肢は照度の定義を正しく表現している。本肢は正しい。
照度E= | 光束Φ[lm] | [lx = lm/m2] |
単位面積A[m2] |
なお、照度の単位の読み方はルクス(lx)、光度はカンデラ(cd)、光束はルーメン(Lm)、立体角はステラジアン(sr)である。立体角はωで表すテキストもある。
(3)適切である。すさまじく分かりにくい表現であるが、作用温度(OT)とは、効果温度とも呼ばれ、人の体感温度を表すための指標である。周囲の壁面からの放射熱による熱伝達と、周囲の空気の対流による熱伝達の2つを考慮して表す。
具体的には、気温と平均放射温度に、対流熱伝達と放射熱伝達の加重平均によって表す(次式参照)。そして、作用温度の値は、均一な温度の閉鎖空間における温度と同じになる。
気温と平均放射温度の平均を作用温度と呼ぶこともあるが、その場合は黒球温度とほぼ同じ値になる。
to= | hcta +hrtr |
hc + hr |
to:作用温度[℃]
hc:対流熱伝達[W/m2℃]
hr:放射熱伝達[W/m2℃]
ta:気温[℃]
to:tr:平均放射温度[℃]
(4)適切である。平均放射温度(MRT)とは、簡単に言えば周囲の壁面の温度の平均値のことことである。MRTは、気温、気流速度及び黒球温度から算出することができる。
(5)適切ではない。相対湿度とは、空気中に含まれている水蒸気の量の、そのときの温度の空気が含み得る最大の水蒸気の量に対する割合のことである。
なお、本肢の説明は絶対湿度についてのものである。