問15 石綿等を取り扱う業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に行う健康診断の項目として、石綿障害予防規則上、誤っているものは次のうちどれか。
(1)業務の経歴の調査
(2)石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査
(3)せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査
(4)赤血球沈降速度検査
(5)胸部のエックス線直接撮影による検査
このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2015年度(平成27年度) | 問15 | 難易度 | 石綿障害予防規則の健診項目に関する知識問題である。ある程度の推理で正答できる問題だろう。 |
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石綿障害予防規則 | 2 |
問15 石綿等を取り扱う業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に行う健康診断の項目として、石綿障害予防規則上、誤っているものは次のうちどれか。
(1)業務の経歴の調査
(2)石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査
(3)せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査
(4)赤血球沈降速度検査
(5)胸部のエックス線直接撮影による検査
正答(4)
【解説】
本問は石綿障害予防規則第40条からの出題である。
まず(1)が正しいことは分かるだろう。これは特殊健診では基本となる項目である。
(4)の赤血球沈降速度検査(赤沈)は、炎症や悪性腫瘍の活動性、進行性の判定指標に利用される検査で、日常の診療で潜在性の病気の有無、病気の経過に役立つものとしてよく利用される。基準値を超えた場合は、結核などの感染症、リウマチ・膠原病などの慢性の炎症、貧血、白血病、悪性腫瘍、肝疾患などが考えられる。逆に数値が低ければ、多血症などが考えられる。
石綿によって問題となるのは、肺がん、中皮腫、石綿肺などであり、肺に関わる疾病が主なものである。赤沈も、結核の検査として利用可能なので肺疾患と無関係ではないが、結核の検査なら胸部エックス線検査が普通であろう。健診項目に関する知識がなくても(4)が誤りだと分かるのではなかろうか。
本問は(4)が正答である。
【石綿障害予防規則】
(健康診断の実施)
第40条 事業者は、令第22条第1項第三号の業務(石綿等の取扱い又は試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に限る。)に常時従事する労働者に対し、雇入れ又は当該業務への配置替えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 業務の経歴の調査
二 石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査
三 せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査
四 胸部のエックス線直接撮影による検査
2 (以下略)