労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生関係法令 問13

鉛中毒予防規則




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 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問13 難易度 鉛中毒予防規則に関するやや高度な知識問題である。正答しておきたいところである。
鉛中毒予防規則

問13 鉛中毒の予防のため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

ただし、鉛業務は隔離室における遠隔操作によるものではなく、また、鉛中毒予防規則に定める適用の除外及び設備の特例はないものとする。

(1)屋内作業場において、鉛化合物を含有する絵具を用いる吹付けによる絵付けの業務に労働者を従事させるときは、当該業務を行う作業場所に、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(2)鉛ライニングの業務に労働者を従事させるときは、鉛等の溶融を行う作業場所に、浮渣を入れるための容器を備えなければならない。

(3)屋内作業場の電線を製造する工程において、鉛の溶融の業務に労働者を従事させるときは、当該作業場に全体換気装置を設けるとともに、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させなければならない。

(4)屋内作業場の自然換気が不十分な場所において、はんだ付けの業務に労働者を従事させるときは、当該業務を行う作業場所に、局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。

(5)鉛蓄電池を解体する工程において、鉛等の粉砕の業務を行う屋内作業場について、1年以内ごとに1回、定期に、空気中における鉛の濃度を測定しなければならない。

正答(3)

【解説】

最近では様ざまな製品の鉛フリー化が進み、実務においては鉛よりも鉛代替品による健康影響への対策が問題となっている。しかし、労働衛生コンサルタント試験では鉛則は、よく出題されるので十分に学習しておくことが必要である。しかし、本問は、やや細かなことを聞いている。鉛を扱う工場の労働衛生について専門的な知識がない限り、知識に基づいて正答することは困難かもしれない。

しかし、安衛法令の(少なくとも現時点では廃止されていない)化学物質関連の特別規則の体系においては、化学物質を定型的に使用する作業場では、作業環境を改善して保護具を着用する必要のない状況にすることが大前提なのである。この大前提は、化学物質の自律的管理によって、かなり緩和はされたが理念としては残っている。また、現行の化学物質関連の特別規則の従来の条文についても、その点については緩和されていない(※)

※ 最近の化学物質関連特別規則では、この原則は必ずしも確立しているわけではない。例えば、特化則第 38 条の 21 の金属アーク溶接等作業に係る措置では、この原則は完全に崩れている。しかし、それまでは、保護具の着用によることを認めるのは、あくまでも作業環境の改善が困難な場合や、臨時的な作業などにおいて、あくまでも「例外」的な場合のみであった。

そのことを知っていれば、(3)は誤りだと気付くことができるだろう。

(1)正しい。鉛則第 18 条の規定により正しい。なお、陶磁器に用いられる塗料に鉛が含まれることは覚えておかなければならない。2007 年5月に、中国製の電磁調理器対応の土鍋の塗料から鉛が検出されて社会問題化したことがある(※)ことをご記憶の方も多いだろう。

※ 検出された鉛は、食品衛生法の基準値以下であった。なお、この土鍋は輸入業者が自主回収している。また、厚生労働省が、輸入業者に自主検査を指導した。

【鉛中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 鉛業務 次に掲げる業務並びに令別表第四第八号から第十一号まで及び第十七号に掲げる業務をいう。

イ~ヌ (略)

 鉛化合物を含有する絵具を用いて行なう絵付け又は当該絵付けを行なった物の焼成の業務

ヲ及びワ (略)

(絵付けに係る設備)

第18条 事業者は、屋内作業場において、第1条第五号ルに掲げる鉛業務のうち絵付けの業務(吹付け又は蒔絵によるものに限る。)に労働者を従事させるときは、当該業務を行なう作業場所に、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(2)正しい。鉛則第 11 条(第二号)の規定により正しい。

【鉛中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 鉛業務 次に掲げる業務並びに令別表第四第八号から第十一号まで及び第十七号に掲げる業務をいう。

イ~ヘ (略)

 鉛ライニングの業務(仕上げの業務を含む。)

チ~ワ (略)

(鉛ライニングに係る設備)

第11条 事業者は、第1条第五号トに掲げる鉛業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。

 (略)

 鉛等の溶融を行なう作業場所に、浮渣を入れるための容器を備えること。

(3)誤り。鉛則第8条は、屋内作業場の電線を製造する工程において、鉛の溶融の業務に労働者を従事させるときは、当該作業場に局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならないとしている。

冒頭に挙げたように、定型的な作業を常時行う作業場において、局所排気装置等の設置等などでなく、保護具の着用を義務付けることは例外的なケースだと思ってよい。

【鉛中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 鉛業務 次に掲げる業務並びに令別表第四第八号から第十一号まで及び第十七号に掲げる業務をいう。

イ~ハ (略)

 電線又はケーブルを製造する工程における鉛の溶融、被鉛、剥鉛又は被鉛した電線若しくはケーブルの加硫若しくは加工の業務

ホ~ワ (略)

(電線等の製造に係る設備)

第8条 事業者は、第1条第五号ニに掲げる鉛業務のうち鉛の溶融の業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。

 鉛の溶融を行なう屋内の作業場所に、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設け、及び浮渣を入れるための容器を備えること。

 (略)

(4)正しい。鉛則第16条の規定により正しい。

【鉛中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 鉛業務 次に掲げる業務並びに令別表第四第八号から第十一号まで及び第十七号に掲げる業務をいう。

イ~チ (略)

 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務

ヌ~ワ (略)

(はんだ付けに係る設備)

第16条 事業者は、屋内作業場において、第1条第五号リに掲げる鉛業務に労働者を従事させるときは、当該業務を行なう作業場所に、局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。

(5)正しい。鉛則第 52 条(及び安衛令第 21 条第八号、同別表第四第三号)により正しい。

通常の作業環境測定は、6月以内ごとに行わなければならないものが多いが、鉛則には1年を超えない期間ごとという例外がある。これは、過去問においてよく出題されるので覚えておく必要がある。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~七 (略)

 別表第四第一号から第八号まで、第十号又は第十六号に掲げる鉛業務(遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く。)を行う屋内作業場

九及び十 (略)

別表第四 鉛業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一及び二 (略)

 鉛蓄電池又は鉛蓄電池の部品を製造し、修理し、又は解体する工程において鉛等の溶融、鋳造、粉砕、混合、ふるい分け、練粉、充てん、乾燥、加工、組立て、溶接、溶断、切断若しくは運搬をし、又は粉状の鉛等をホッパー、容器等に入れ、若しくはこれらから取り出す業務

四~十八 (略)

備考 (略)

【鉛中毒予防規則】

(測定)

第52条 事業者は、令第21条第八号に掲げる屋内作業場について、1年以内ごとに1回、定期に、空気中における鉛の濃度を測定しなければならない。

 (略)