問12 屋内作業場等における有機溶剤業務の管理等に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
ただし、有機溶剤中毒予防規則の適用の除外及び設備の特例はないものとする。
(1)第1種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。
(2)第1種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う作業場に設ける局所排気装置の制御風速は、囲い式のフードでは1.0メートル/秒以上、外付け式のフードでは0.4メートル/秒以上としなければならない。
(3)屋内作業場において、有機溶剤業務に労働者を従事させるときに行う有機溶剤等の区分の色分けによる表示は、第2種有機溶剤等については黄色によらなければならない。
(4)有機溶剤等を入れたことがあり、有機溶剤の蒸気が発散するおそれがあるタンクの内部における業務に労働者を従事させるときは、その業務に従事する労働者に送気マスクを使用させなければならない。
(5)屋内作業場において、第2種有機溶剤等に係る有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2015年度(平成27年度) | 問12 | 難易度 | 有機則に関するごく初歩的な知識問題である。確実に正答しなければならない。 |
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有機溶剤中毒予防規則 | 1 |
問12 屋内作業場等における有機溶剤業務の管理等に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
ただし、有機溶剤中毒予防規則の適用の除外及び設備の特例はないものとする。
(1)第1種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。
(2)第1種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う作業場に設ける局所排気装置の制御風速は、囲い式のフードでは1.0メートル/秒以上、外付け式のフードでは0.4メートル/秒以上としなければならない。
(3)屋内作業場において、有機溶剤業務に労働者を従事させるときに行う有機溶剤等の区分の色分けによる表示は、第2種有機溶剤等については黄色によらなければならない。
(4)有機溶剤等を入れたことがあり、有機溶剤の蒸気が発散するおそれがあるタンクの内部における業務に労働者を従事させるときは、その業務に従事する労働者に送気マスクを使用させなければならない。
(5)屋内作業場において、第2種有機溶剤等に係る有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
正答(2)
【解説】
有機則は、物質、場所、使用する量の3つの要件について合致したときに、適用される。ただし、本条の場合「適用の除外及び設備の特例」はないとされているので、使用する量については気にする必要はない。
(1)正しい。安衛令第21条第10号(及び有機則第28条)の規定により本肢は正しい。なお、有機溶剤のうち第三種有機溶剤は作業環境測定の対象とはされていないことは覚えておく必要がある。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2 (以下略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~九 (略)
十 別表第6の2に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場
【有機溶剤中毒予防規則】
(測定)
第28条 令第二十一条第十号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合における同項の業務以外の業務とする。
2 事業者は、前項の業務を行う屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。
3 (略)
(2)誤り。有機則第16条の規定により、第1種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う作業場に設ける局所排気装置の制御風速は、囲い式のフードでは0.4メートル/秒以上、外付け式のフードでは吸引の方式によってそれぞれ規定されている。
なお、囲い式フードは外付け式よりも効率が高いのである。制御風速が囲い式の方が高いわけがなかろう。数字を覚えていなくても、本肢は誤りだと分からなければならない。もっとも、制御風速は覚えておく必要がある。
【有機溶剤中毒予防規則】
(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)
第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第1条第1項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第13条の2第1項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
(局所排気装置の性能)
第16条 局所排気装置は、次の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。
型式 | 制御風速(メートル/秒) | |
---|---|---|
囲い式フード | 〇・四 | |
外付け式フード | 側方吸引型 | 〇・五 |
下方吸引型 | 〇・五 | |
上方吸引型 | 一・〇 | |
備考 一 この表における制御風速は、局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速をいう。 二 この表における制御風速は、フードの型式に応じて、それぞれ次に掲げる風速をいう。 イ 囲い式フードにあっては、フードの開口面における最小風速 ロ 外付け式フードにあっては、当該フードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における当該フードの開口面から最も離れた作業位置の風速 |
(3)正しい。有機則第25条第2項により正しい。本条の内容は覚えておく必要がある。
【有機溶剤中毒予防規則】
第25条 事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。
2 前項の色分けによる表示は、次の各号に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める色によらなければならない。
一 第一種有機溶剤等 赤
二 第二種有機溶剤等 黄
三 第三種有機溶剤等 青
(4)正しい。有機則第32条第1項の規定により正しい。
【有機溶剤中毒予防規則】
(定義等)
第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一~五 (略)
六 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。
イ~ル (略)
ヲ 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないものを除く。以下同じ。)の内部における業務
2 (略)
(送気マスクの使用)
第32条 事業者は、次の各号のいずれかに掲げる業務に労働者を従事させるときは、当該業務に従事する労働者に送気マスクを使用させなければならない。
一 第一条第一項第六号ヲに掲げる業務
二 (略)
2 (略)
(5)正しい。有機則第5条の規定により正しい。
【有機溶剤中毒予防規則】
(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)
第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第十三条の二第一項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。