問8 労働安全衛生規則に定める衛生基準に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)加硫がまによりゴムを加硫する業務を行う屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱を測定しなければならない。
(2)坑内の作業場において、自然換気により衛生上必要な分量の空気が供給される場合は、通気設備を設ける必要はないが、この場合も半月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における通気量の測定を行わなければならない。
(3)労働者を常時就業させる作業場では、坑内の作業場を除き、労働者の飲用に供する水その他の飲料を、十分供給するようにしなければならない。
(4)労働者を常時就業させる屋内作業場について、床面から4メートルを超える高さにある空間を除き、設備の占める容積を含む気積が、労働者1人について10立方メートル以上としなければならない。
(5)男性用小便所の箇所数は、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由があり適当な数の便所又は便器を備えたときを除き、同時に就業する男性労働者30人以内ごとに1個以上としなければならない。
このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2015年度(平成27年度) | 問08 | 難易度 | 衛生基準に関するごく基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。 |
---|---|---|---|
衛生基準 | 2 |
問8 労働安全衛生規則に定める衛生基準に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)加硫がまによりゴムを加硫する業務を行う屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱を測定しなければならない。
(2)坑内の作業場において、自然換気により衛生上必要な分量の空気が供給される場合は、通気設備を設ける必要はないが、この場合も半月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における通気量の測定を行わなければならない。
(3)労働者を常時就業させる作業場では、坑内の作業場を除き、労働者の飲用に供する水その他の飲料を、十分供給するようにしなければならない。
(4)労働者を常時就業させる屋内作業場について、床面から4メートルを超える高さにある空間を除き、設備の占める容積を含む気積が、労働者1人について10立方メートル以上としなければならない。
(5)男性用小便所の箇所数は、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由があり適当な数の便所又は便器を備えたときを除き、同時に就業する男性労働者30人以内ごとに1個以上としなければならない。
正答(5)
【解説】
本問は、やや細かいことのように思えるかもしれないが、なぜか便器の数はコンサルタント試験ではよく問われるので、覚えておいた方がよい。それさえ覚えておけば、本問は正答できる。(1)はやや細かすぎる知識だろう。
(1)誤り。安衛則第607条の規定による「加硫がまによりゴムを加硫する業務を行う屋内作業場」はふく射熱を測定しなければならない作業場とはされていない。
ただ、かなり細かいことを問うている。ここまで細かいことを覚えておく必要があるかはやや疑問だ。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一 (略)
二暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの
三 (以下略)
【労働安全衛生規則】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第587条 令第21条第二号の厚生労働省令で定める暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場は、次のとおりとする。
一~八 (略)
九加硫がまによりゴムを加硫する業務を行なう屋内作業場
十 (以下略)
(気温、湿度等の測定)
第607条 事業者は、第587条に規定する暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱(ふく射熱については、同条第一号から第八号までの屋内作業場に限る。)を測定しなければならない。
(2)誤り。自然換気により衛生上必要な分量の空気が供給される坑内の作業場については、安衛則第602条は通気設備の設置を義務付けていない。従って前段は正しい。
しかし、通気量の測定を行わなければならないのは、第589条により通気設備が設けられている坑内の作業場である。従って、通気設備が設置されていない場合は測定の必要はなく、本肢は誤っている。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~三 (略)
四坑内の作業場で、厚生労働省令で定めるもの
五 (以下略)
【労働安全衛生規則】
第589条 令第21条第4号の厚生労働省令で定める坑内の作業場は、次のとおりとする。
一及び二 (略)
三通気設備が設けられている坑内の作業場
(坑内の通気設備)
第602条 事業者は、坑内の作業場においては、衛生上必要な分量の空気を坑内に送給するために、通気設備を設けなければならない。ただし、自然換気により衛生上必要な分量の空気が供給される坑内の作業場については、この限りでない。
(坑内の通気量の測定)
第603条 事業者は、第589条第三号の坑内の作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における通気量を測定しなければならない。
2 (略)
(3)誤り。安衛則第627条第1項は、とくに限定することなく、すべての事業者に対して「労働者の飲用に供する水その他の飲料を、十分供給する」ことを義務付けている。
【労働安全衛生規則】
(給水)
第627条 事業者は、労働者の飲用に供する水その他の飲料を、十分供給するようにしなければならない。
2 (略)
(4)誤り。安衛則第600条の規定により、事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除いて、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。従って、本肢が設備の占める容積を含む気積が、労働者1人について10立方メートル以上としなければならないとしているのは、誤りである。
【労働安全衛生規則】
(気積)
第600条 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。
(5)正しい。安衛則第628条の規定により(2021年12月1日公布・同日施行の省令改正により、原則として)正しい。
【労働安全衛生規則】
(便所)
第628条 事業者は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。ただし、坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由がある場合で、適当な数の便所又は便器を備えたときは、この限りでない。
一及び二 (略)
三 男性用小便所の箇所数は、次の表の上欄に掲げる同時に就業する男性労働者の数に応じて、同表の下欄に掲げる数以上とすること。
同時に就業する男性労働者の数 | 箇所数 |
---|---|
三十人以内 | 一 |
三十人超 | 一に、同時に就業する男性労働者の数が三十人を超える三十人又はその端数を増すごとに一を加えた数 |
四から六 (略)
2 (略)
(独立個室型の便所の特例)
第628条の2 前条第一項第一号から第四号までの規定にかかわらず、同時に就業する労働者の数が常時十人以内である場合は、男性用と女性用に区別しない四方を壁等で囲まれた一個の便房により構成される便所(次項において「独立個室型の便所」という。)を設けることで足りるものとする。
2 前条第一項の規定にかかわらず、独立個室型の便所を設ける場合(前項の規定により独立個室型の便所を設ける場合を除く。)は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。
一 独立個室型の便所を除き、男性用と女性用に区別すること。
二 (略)
三 男性用小便所の箇所数は、次の表の上欄に掲げる同時に就業する男性労働者の数に応じて、同表の下欄に掲げる数以上とすること。
同時に就業する男性労働者の数 | 箇所数 |
---|---|
設ける独立個室型の便所の数に十を乗じて得た数以下 | 一 |
設ける独立個室型の便所の数に十を乗じて得た数を超える数 | 一に、設ける独立個室型の便所の数に十を乗じて得た数を同時に就業する男性労働者の数が三十人を超える三十人又はその端数を増すごとに一を加えた数 |
四から六 (略)
2 (略)