労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生関係法令 問05

電離放射線障害防止規則




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問05 難易度 電離放射線障害防止規則に関するやや詳細な知識問題である。合否を分けるレベルか。確実に正答したい。
電離放射線障害防止規則

問5 放射線業務を行う事業の事業者が電離放射線障害を防止するため講ずべき措置に関する次の記述のうち、電離放射線障害防止規則上、誤っているものはどれか。

(1)放射線装置室以外の場所で、放射性物質を装備している機器で照射している場合には、自動警報装置によりその旨を関係者に周知しなければならない。

(2)妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の内部被ばくによる実効線量については、妊娠と診断されたときから出産までの間につき、1ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

(3)放射線装置室内で透過写真撮影用ガンマ線照射装置を使用するときは、放射線源送出し装置以外の遠隔操作装置を用いて線源容器から放射線源を取り出すことができる。

(4)放射性物質が多量にもれる事故が発生し、その事故によって受ける実効線量が15ミリシーベルトを超えるおそれのある区域が生じた場合における緊急作業を行うときは、男性の放射線業務従事者が当該緊急作業に従事する間に受ける実効線量については、100ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

(5)特定エックス線装置を使用するときは、作業の性質上軟線を利用しなければならない場合又は労働者が軟線を受けるおそれがない場合を除いて、ろ過板を用いなければならない。

正答(1)

【解説】

本問は、電離則の条文問題であるが、かなり細かな知識を問うている。

(1)誤り。放射性物質を装備している機器で照射している場合に「自動警報装置により」その旨を関係者に周知しなければならないとの電離放射線障害防止規則(以下本問の解説において「電離則」という。)第17条第1項(第三号)の規定は、放射線装置室以外の場所で、放射性物質を装備している機器で照射している場合には適用されない。

【電離放射線障害防止規則】

(警報装置等)

第17条 事業者は、次の場合には、その旨を関係者に周知させる措置を講じなければならない。この場合において、その周知の方法は、その放射線装置を放射線装置室以外の場所で使用するとき、又は管電圧150キロボルト以下のエックス線装置若しくは数量が400ギガベクレル未満の放射性物質を装備している機器を使用するときを除き、自動警報装置によらなければならない。

一及び二 (略)

 放射性物質を装備している機器で照射している場合

 (以下略)

(2)正しい。電離則第6条(第2号)の規定により、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の内部被ばくによる実効線量については、妊娠と診断されたときから出産までの間につき、1ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

【電離放射線障害防止規則】

第6条 事業者は、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間(以下「妊娠中」という。)につき次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。

 内部被ばくによる実効線量については、一ミリシーベルト

 腹部表面に受ける等価線量については、二ミリシーベルト

(3)正しい。電離則第18条の3第2項の規定により、放射線装置室内で透過写真撮影用ガンマ線照射装置を使用するときは、放射線源送出し装置以外の遠隔操作装置を用いて線源容器から放射線源を取り出すことができる。

【電離放射線障害防止規則】

(放射線源の取出し等)

第18条の3 事業者は、透過写真撮影用ガンマ線照射装置を使用するときは、放射線源送出し装置(操作器(ワイヤレリーズを繰り出し、及び巻き取る装置をいう。)、操作管(ワイヤレリーズを誘導する管をいう。)及び伝送管(放射線源及びワイヤレリーズを誘導する管をいう。以下同じ。)により構成され、放射線源を線源容器から繰り出し、及び線源容器に収納する装置をいう。以下同じ。)を用いなければ線源容器から放射線源を取り出してはならない。

 事業者は、前項の規定にかかわらず、放射線装置室内で透過写真撮影用ガンマ線照射装置を使用するときは、放射線源送出し装置以外の遠隔操作装置を用いて線源容器から放射線源を取り出すことができる。

(4)正しい。電離則第7条第2項(第1号)(及び同規則第42条第1項)の規定により、放射性物質が多量にもれる事故が発生し、その事故によって受ける実効線量が15ミリシーベルトを超えるおそれのある区域が生じた場合における緊急作業を行うときは、男性の放射線業務従事者が当該緊急作業に従事する間に受ける実効線量については、100ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

【電離放射線障害防止規則】

(緊急作業時における被ばく限度)

第7条 事業者は、第四十二条第一項各号のいずれかに該当する事故が発生し、同項の区域が生じた場合における放射線による労働者の健康障害を防止するための応急の作業(以下「緊急作業」という。)を行うときは、当該緊急作業に従事する男性及び妊娠する可能性がないと診断された女性の放射線業務従事者については、第四条第一項及び第五条の規定にかかわらず、これらの規定に規定する限度を超えて放射線を受けさせることができる。

 前項の場合において、当該緊急作業に従事する間に受ける線量は、次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。

 実効線量については、百ミリシーベルト

二及び三 (略)

 (略)

(退避)

第42条 事業者は、次の各号のいずれかに該当する事故が発生したときは、その事故によつて受ける実効線量が十五ミリシーベルトを超えるおそれのある区域から、直ちに、労働者を退避させなければならない。

一及び二 (略)

 放射性物質が多量にもれ、こぼれ、又は逸散した場合

四及び五 (略)

 (以下略)

(5)正しい。電離則第11条の規定により、特定エックス線装置を使用するときは、作業の性質上軟線を利用しなければならない場合又は労働者が軟線を受けるおそれがない場合を除いて、ろ過板を用いなければならない。

【電離放射線障害防止規則】

(ろ過板)

第11条 事業者は、特定エックス線装置を使用するときは、ろ過板を用いなければならない。ただし、作業の性質上軟線を利用しなければならない場合又は労働者が軟線を受けるおそれがない場合には、この限りでない。

2017年11月03日執筆 2020年05月02日修正