問4 酸素欠乏症等を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)パルプ液を入れたことのあるタンクの内部における作業に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、第2種酸素欠乏危険作業に係る特別の教育を行わなければならない。
(2)穀物の貯蔵のために使用している倉庫の内部において作業を行う場合、当該作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中の酸素の濃度を測定しなければならない。
(3)汚水を入れたことのあるポンプ又はこれに附属する設備の修理を行う場合において、これらの設備を分解する作業に労働者を従事させるときは、硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者のうちから指揮者を選任し、その者に当該作業を指揮させなければならない。
(4)労働者が酸素欠乏症等にかかったときは、遅滞なく、その旨を当該作業を行う場所を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない。
(5)地下室の内部においてプロパンを主成分とするガスの配管を取り外す作業に労働者を従事させるときは、作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つように換気し、又は労働者に空気呼吸器等を使用させなければならない。
このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2015年度(平成27年度) | 問04 | 難易度 | 酸素欠乏症等の防止措置に関する基本的な知識問題である。確実に正答したい問題。 |
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酸素欠乏症等の防止措置 | 3 |
問4 酸素欠乏症等を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)パルプ液を入れたことのあるタンクの内部における作業に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、第2種酸素欠乏危険作業に係る特別の教育を行わなければならない。
(2)穀物の貯蔵のために使用している倉庫の内部において作業を行う場合、当該作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中の酸素の濃度を測定しなければならない。
(3)汚水を入れたことのあるポンプ又はこれに附属する設備の修理を行う場合において、これらの設備を分解する作業に労働者を従事させるときは、硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者のうちから指揮者を選任し、その者に当該作業を指揮させなければならない。
(4)労働者が酸素欠乏症等にかかったときは、遅滞なく、その旨を当該作業を行う場所を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない。
(5)地下室の内部においてプロパンを主成分とするガスの配管を取り外す作業に労働者を従事させるときは、作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つように換気し、又は労働者に空気呼吸器等を使用させなければならない。
正答(2)
【解説】
(1)正しい。本肢の作業は、酸素欠乏症等防止規則(以下、本問解説において「酸欠則」という。)第2条第8号(及び安衛令別表第6第九号)の規定により、第2種酸素欠乏危険作業となる。
従って、酸欠則第12条第2項の規定により、特別の教育を行わなければならない。
【労働安全衛生法施行令】
別表第6 酸素欠乏危険場所(第6条、第21条関係)
一~八 (略)
九 し尿、腐泥、汚水、パルプ液その他腐敗し、又は分解しやすい物質を入れてあり、又は入れたことのあるタンク、船倉、槽、管、暗きよ、マンホール、溝又はピットの内部
十 (以下略)
【酸素欠乏症等防止規則】
(定義)
第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一~五 (略)
六 酸素欠乏危険作業 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号。以下「令」という。)別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所(以下「酸素欠乏危険場所」という。)における作業をいう。
七 第一種酸素欠乏危険作業 酸素欠乏危険作業のうち、第二種酸素欠乏危険作業以外の作業をいう。
八 第二種酸素欠乏危険作業 酸素欠乏危険場所のうち、令別表第六第三号の三、第九号又は第十二号に掲げる酸素欠乏危険場所(同号に掲げる場所にあっては、酸素欠乏症にかかるおそれ及び硫化水素中毒にかかるおそれのある場所として厚生労働大臣が定める場所に限る。)における作業をいう。
(特別の教育)
第12条 事業者は、第一種酸素欠乏危険作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について特別の教育を行わなければならない。
一~五 (略)
2 前項の規定は、第二種酸素欠乏危険作業に係る業務について準用する。この場合において、同項第一号中「酸素欠乏」とあるのは「酸素欠乏等」と、同項第二号及び第五号中「酸素欠乏症」とあるのは「酸素欠乏症等」と読み替えるものとする。
3 (以下略)
(2)誤り。穀物の貯蔵のために使用している倉庫の内部は、酸欠則第3条(及び安衛令第21条第9号)により、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素の濃度を測定しなければならない。
従って、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中の酸素の濃度を測定しなければならないとする本肢は誤りである。
そもそも酸素欠乏症は、慢性中毒ではないのである。6か月以内ごとに1回の測定では意味がないだろう。
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~八 (略)
九 別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場
十 (以下略)
別表第6 酸素欠乏危険場所(第6条、第21条関係)
一~六 (略)
七 穀物若しくは飼料の貯蔵、果菜の熟成、種子の発芽又はきのこ類の栽培のために使用しているサイロ、むろ、倉庫、船倉又はピットの内部
八 (以下略)
【酸素欠乏症等防止規則】
(作業環境測定等)
第3条 事業者は、令第21条第九号に掲げる作業場について、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素(第二種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、酸素及び硫化水素)の濃度を測定しなければならない。
2 (略)
(3)正しい。酸欠則第25条の2(第二号)の規定により、汚水を入れたことのあるポンプ又はこれに附属する設備の修理を行う場合において、これらの設備を分解する作業に労働者を従事させるときは、硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者のうちから指揮者を選任し、その者に当該作業を指揮させなければならない。
【酸素欠乏症等防止規則】
(設備の改造等の作業)
第25条の2 事業者は、し尿、腐泥、汚水、パルプ液その他腐敗し、若しくは分解しやすい物質を入れてあり、若しくは入れたことのあるポンプ若しくは配管等又はこれらに附属する設備の改造、修理、清掃等を行う場合において、これらの設備を分解する作業に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。
一 (略)
二 硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者のうちから指揮者を選任し、その者に当該作業を指揮させること。
三 (以下略)
(4)正しい。酸欠則第29条の規定により、労働者が酸素欠乏症等にかかったときは、遅滞なく、その旨を当該作業を行う場所を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない。
【酸素欠乏症等防止規則】
(事故等の報告)
第29条 事業者は、労働者が酸素欠乏症等にかかつたとき、又は第24条第1項の調査の結果酸素欠乏の空気が漏出しているときは、遅滞なく、その旨を当該作業を行う場所を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない。
(5)正しい。酸欠則第23条の2第1項(第2号)の規定により、地下室の内部においてプロパンを主成分とするガスの配管を取り外す作業に労働者を従事させるときは、作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つように換気し、又は労働者に空気呼吸器等を使用させなければならない。
【酸素欠乏症等防止規則】
(ガス配管工事に係る措置)
第23条の2 事業者は、地下室又は溝の内部その他通風が不十分な場所において、メタン、エタン、プロパン若しくはブタンを主成分とするガス又はこれらに空気を混入したガスを送給する配管を取り外し、又は取り付ける作業に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。
一 (略)
二 作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つように換気し、又は労働者に空気呼吸器等を使用させること。
2 (以下略)