労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生一般 問29

OSHMS指針




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 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問29 難易度 OSHMS指針に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
OSHMS指針

問29 厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」の内容、運用などに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)安全衛生方針は、事業者が事業場における安全衛生水準の向上を図るための基本的な考え方を示すものである。

(2)建設業においては、仕事の請負契約を締結している店社及びその店社において締結した請負契約に係る仕事をする事業場を一の単位として、労働安全衛生マネジメントシステムの措置を実施することが基本である。

(3)リスクアセスメントを実施するに当たり、危険有害情報の情報源としてヒヤリハットに関する情報の利用は避けることが望ましい。

(4)安全衛生目標の設定、安全衛生計画の作成等において、安全衛生委員会等の活用により労働者の意見を反映することが必要である。

(5)システム監査を行う場合、その実施者は、公平かつ客観的な監査が実施できれば、事業場の内部又は外部のいずれの者でもよい。

正答(3)

【解説】

(1)適切である。労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(平成11年4月30日労働省告示第53号(最終改正:令和元年7月1日厚生労働省告示第54号。以下本問の解説において「MS指針」という。)第5条第2項に「安全衛生方針は、事業場における安全衛生水準の向上を図るための安全衛生に関する基本的考え方を示すものであ」るとされている。従って本肢は適切でないとはいえない。

(2)適切である。MS指針第4条但書に、「建設業に属する事業の仕事を行う事業者については、当該仕事の請負契約を締結している事業場及び当該事業場において締結した請負契約に係る仕事を行う事業場を併せて一の単位として(労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置を=引用者)実施することを基本とする」とある。

(3)適切ではない。厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針通達)」の「7情報の入手」には、入手してリスクアセスメントに活用すべき情報として「災害事例、災害統計等」を挙げる。

そして、厚生労働省安全衛生部安全課の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針 同解説」には、指針の「災害事例、災害統計等」には、ヒヤリハットが含まれるとされている。

(4)適切である。MS指針第6条には「事業者は、安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たり、安全衛生委員会等(安全衛生委員会、安全委員会又は衛生委員会をいう。以下同じ。)の活用等労働者の意見を反映する手順を定めるとともに、この手順に基づき、労働者の意見を反映するものとする」とされている。

なお、同指針第5条の「安全衛生方針の表明」には、「労働者の意見を反映する」とはされていないことに留意すること。受験のためのテクニックとして、「方針には反映せず、目標には反映する」と覚えておく。

(5)適切である。平成18年3月17日基発第0317007号「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針の改正について」の記の第2の15の(2)には「「システム監査」の実施者は、必要な能力を有し、監査の対象となる部署に所属していない等、システム監査の実施に当たって公平かつ客観的な立場にある者であること。その限りにおいて、企業内部の者、企業外部の者のいずれが実施しても差し支えない」とされている。従って本肢は適切でないとは言えない。

労働安全衛生マネジメントシステムは、事業主の下で労使が一体となって行うものであり、利益相反があるわけではないので、外部の者でなければならない理由はない。

2019年12月01日執筆 2020年05月05日修正