問27 労働衛生統計などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)平成26年の全国の自殺者の数は、25,400人余りで、平成25年に比べ6.8%減少するとともに、平成24年以降3年連続で3万人を下回った。
(2)平成26年度の精神障害等に係る労災補償の支給決定件数は、500件近くに達し、平成23年度以前に比べると年度当たり100件以上多い水準にある。
(3)平成26年度の石綿による肺がん及び中皮腫の労災保険給付支給決定件数は、900件を超えており、平成22 年度以降、横ばいの状態が続いている。
(4)平成26年の業務上疾病の疾病分類別疾病者数については、数の多いものから、負傷に起因する疾病、化学物質による疾病、作業態様に起因する疾病の順になっている。
(5)平成26 年の定期健康診断における有所見率は、50%を超えており、10年以上増加傾向で推移している。
このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2015年度(平成27年度) | 問27 | 難易度 | 労働衛生統計に関する基本的な知識問題である。頻出事項でもあり、確実に正答できなければならない。 |
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労働衛生統計 | 1 |
問27 労働衛生統計などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)平成26年の全国の自殺者の数は、25,400人余りで、平成25年に比べ6.8%減少するとともに、平成24年以降3年連続で3万人を下回った。
(2)平成26年度の精神障害等に係る労災補償の支給決定件数は、500件近くに達し、平成23年度以前に比べると年度当たり100件以上多い水準にある。
(3)平成26年度の石綿による肺がん及び中皮腫の労災保険給付支給決定件数は、900件を超えており、平成22 年度以降、横ばいの状態が続いている。
(4)平成26年の業務上疾病の疾病分類別疾病者数については、数の多いものから、負傷に起因する疾病、化学物質による疾病、作業態様に起因する疾病の順になっている。
(5)平成26 年の定期健康診断における有所見率は、50%を超えており、10年以上増加傾向で推移している。
正答(4)
【解説】
労働衛生統計については、本サイトの「最新の労働衛生の統計情報」の他、本問に関する具体的な数値は「表で見る労働災害の発生と労働衛生の状況」も参照されたい。
その他(1)は警視庁の該当サイトにリンクを張ってあり、(2)及び(3)は最新の報道発表データにリンクを張ってある。また、(4)及び(5)については、「業務上疾病発生状況等調査」から最新の数値を調べることができる。最新の数値は、各自、調べて欲しい。
(1)正しい。我が国の自殺者数の統計には、厚労省の「人口動態統計年報」や警察庁の「自殺の概要資料」があるが、コンサルタント試験で特にことわりがなければ、警察庁の統計だと考えてよい。
これによると、平成26年の全国の自殺者の数は、25,427人で、平成25年の27,283人に比べ約6.8%減少するとともに、平成24年以降3年連続で3万人を下回っている。
なお、平成29年の全国の自殺者の数は、21,321人で、平成25年の21,897人に比べ約2.6%減少するとともに、平成24年以降6年連続で3万人を下回っている。やや細かい数値を問うているように思える。
(2)正しい。平成26年度の精神障害等に係る労災補償の支給決定件数は、497件であり、平成23年度の325件、同22年度の308件に比べると年度当たり100件以上多い水準にある。
なお、最新のデータの具体的な数値は「表で見る労働災害の発生と労働衛生の状況」に示すが、令和2年度の精神障害等に係る労災補償の支給決定件数は、608件である。
(3)正しい。平成26年度の石綿による肺がん及び中皮腫の労災保険給付支給決定件数は、920件であり、平成22 年度以降、横ばいの状態が続いている。
なお、令和2年度(速報値)は1,016件となっている。
(4)誤り。平成26年の業務上疾病の疾病分類別疾病者数は、負傷に起因する疾病5,445件、化学物質による疾病(がんを除く)201件(化学物質によるがん6件)、作業態様に起因する疾病420件となっている。
※ グラフでは令和2年(2020年)以降の新型コロナへの感染は除いている。新型コロナへの感染を含めたグラフは「労働衛生(産業保健)最新統計」を参照して頂きたい。
なお、令和2年以降は、病原体に起因する業務上疾病が急増しており、それまでとは様相が異なっているので留意しなければならない。
(5)正しい。平成26年の定期健康診断における有所見率は、53.2%であり、10年以上増加傾向で推移している。