労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生一般 問24

作業時間、休憩




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問24 難易度 作業時間、休憩に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
作業時間、休憩

問24 作業時間、休憩などに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)長時間車両を運転した後に荷役作業をする場合、間に休息をとり、軽い運動をすることが望ましい。

(2)腰痛予防の観点からも、夜勤における作業量は、昼間時の同一作業のそれよりも下回るよう配慮すべきである。

(3)熱中症予防のためには、身体作業強度が高い作業を避け、高温多湿作業場所の作業を連続して行う時間を短縮する。

(4)「VDT 作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、1 日の作業時間に上限を設けてあるので、管理者はそれに応じた作業時間管理を行う。

(5)「VDT 作業における労働衛生管理のためのガイドライン」での作業休止時間には、ストレッチのほか、VDT 作業以外の業務を行うための時間を含む。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。職場における腰痛予防対策指針別紙に「長時間車両を運転した後に重量物を取り扱う場合は、小休止・休息及びストレッチングを行った後に作業を行わせること」とある。

(2)正しい。同指針の2(5)ハに「夜勤、交代勤務及び不規則勤務にあっては、作業量が昼間時における同一作業の作業量を下回るよう配慮し、適宜、休憩や仮眠が取れるようにすること」とある。

(3)正しい。これは解説するまでもないだろう。適切でないとは言えない。

なお、「職場における熱中症予防対策マニュアル」(平成30年改訂版)の第3章の「2.作業管理」の「(1)作業時間の短縮等」(28頁)に「高温多湿作業場所の作業を連続して行う時間を短縮すること、業強度(代謝率レベル)が高い作業を避けること」とある。

(4)誤り。現在は、「VDT 作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は廃止され、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が策定されている。新旧両ガイドラインには、1日の作業時間の上限は定められていない。

以下に、新ガイドラインの該当部分を示す。

【情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン】

 作業管理

  作業者が、心身の負担が少なく作業を行うことができるよう、次により作業時間の管理を行うとともに、4により整備した情報機器、関連什器等を調整し、作業の特性や個々の作業者の特性に合った適切な作業管理を行うこと。

(1) 作業時間等

 一日の作業時間

  情報機器作業が過度に長時間にわたり行われることのないように指導すること。

 一連続作業時間及び作業休止時間

  一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10 分~15 分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けるよう指導すること。

 業務量への配慮

  作業者の疲労の蓄積を防止するため、個々の作業者の特性を十分に配慮した無理のない適度な業務量となるよう配慮すること。

(2) (以下略)

【「5 作業管理」について(解説)】

(1) 作業時間等

 一日の作業時間

  一日の作業時間については、これまでの経験から、職場において情報機器作業に関して適切な労働衛生管理を行うとともに、各人が自らの健康の維持管理に努めれば、大多数の労働者の健康を保持できることが明らかになっており、他方、各事業場における情報機器作業の態様が様々で作業者への負荷が一様でなく、また、情報機器作業が健康に及ぼす影響は非常に個人差が大きいこともあり、ガイドラインでは上限を設けていない

 (以下略)

(5)正しい。情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインには、作業休止時間は、「いわゆる休憩時間ではない」とされている。、身体の各部のストレッチなどの運動を行ったり、他の業務を行ったりするための時間は作業休止時間に含まれる。

なお、法定の休憩時間とは別に作業休止時間を設定する必要があるわけではない。連続作業と連続作業の間に法定の休憩時間をとることでも差し支えない。

【情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン】

【「5 作業管理」について(解説)】

(1) 作業時間等

 一連続作業時間及び作業休止時間

(イ)作業休止時間は、ディスプレイ画面の注視、キー操作又は一定の姿勢を長時間持続することによって生じる眼、頸、肩、腰背部、上肢等への負担による疲労を防止することを目的とするものである。連続作業後、一旦情報機器作業を中止し、リラックスして遠くの景色を眺めたり、眼を閉じたり、身体の各部のストレッチなどの運動を行ったり、他の業務を行ったりするための時間であり、いわゆる休憩時間ではない。

    (以下略)

2019年12月01日執筆 2020年05月05日修正