労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生一般 問23

作業負荷




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問23 難易度 作業負荷に関する基本的な知識問題である。近年はあまり出題されない範囲だが、確実に正答したい。
作業負荷

問23 作業負荷などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ある作業のエネルギー代謝率(RMR)とは、作業時間中の総消費エネルギー量が基礎代謝量の何倍に当たるかを示す値である。

(2)基礎代謝量は、覚醒、横臥及び安静の状態で測定する。

(3)心拍数は、身体的活動のほか、精神的活動の影響を受ける。

(4)直立姿勢を保持しているときには、筋肉は等尺性収縮を常に起こしている。

(5)収縮する際に発生する筋肉の単位面積当たりの最大筋力には、性差や年齢差がほとんどない。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。これは正確な知識がないと解けない知識問題である。本肢の「総消費エネルギー」を「ある作業をすることによって増加したエネルギー」とすると正しくなる。

なお、エネルギー代謝率(RMR:Relative Metabolic Rate)は、次式で表せる。

エネルギー代謝率= 運動時消費エネルギー - 安静時消費エネルギー
基礎代謝

(2)正しい。基礎代謝とは、身体的・精神的に安静にしている状態でのエネルギー代謝量のことである。生命維持に必要な最低のエネルギーである。これを正確に測定するには、食後14時間が経過した時点で、ベッドに仰向きに寝て安静にし、吸気と呼気中の酸素と二酸化酸素の濃度を測定することによって行う。

なお、現実には、デジタル体組成計で簡易的に測定できる。

(3)正しい。これは常識で判断できるだろう。正しい。なお、心拍数によって精神的ストレスを評価しようとする試みが行われている。

(4)正しい。これは、第1種衛生管理者試験に出題されるレベルの問題である。“等張性収縮”と“等尺性収縮”については覚えておく必要がある。等張性収縮とは、筋肉の長さが変わって筋力を発揮させる収縮をいい、等尺性収縮とは、筋肉の長さが変わらずに筋力を発揮させる収縮と覚えておく。

不動の姿勢で直立しているときは、意外に疲れるものだが、筋肉の長さが変わらずに筋力を発揮させている。

(5)正しい。これも基本的な知識である。年齢によって筋力が衰えるのは、筋肉が細くなるからである。

2019年12月01日執筆 2020年05月05日修正