労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生一般 問22

GHS




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問22 難易度 GHSに関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
GHS

問22 「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)危険有害性区分では、各国の実情に応じて採用しなくともよい区分があるが、日本工業規格(JIS)はこれらのすべての区分を採用している。

(2)危険有害性区分の分類結果が「区分1」「区分2」「区分3」などのように数字が大きくなるほど、危険有害性の高い区分となる。

(3)混合物の場合には、混合物全体として有害性の分類がなされているときでも、含有する物質ごとに分類し、物質ごとに所定の事項を記載する。

(4)危険有害性に関するデータが存在しない場合は、「区分外」と分類される。

(5)危険有害性を示すために9つの標章(絵表示)が用いられている。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。わが国の化学品の分類は、GHS改訂4版に基づきJIS Z 7252:2014に規定されている。GHSの分類及び表示法は、各国の裁量に任されており、JISも国連のシステムとは数か所が異なっている1)

なお、GHSに存在してJISにない区分は、各急性毒性の「区分5」、皮膚腐食性及び刺激性の「区分3」、「吸引性呼吸器有害性2」、「自然発火ガス」、「窒息剤」及び「可燃性ダスト」である。

また、新システムへの移行過程には暫定措置が設けられることはあり得るし、表示の方法など(例えば絵表示の枠の色)が国の実情に応じて緩和されることはある。

(2)誤り。それぞれの危険有害性ごとに、数字の表す意味は異なっているが、数字が低い方が危険有害性が高いか、証拠が確かとなる。本肢は、逆である。

(3)誤り。これはよく誤解されているが誤りである。あくまでも法律上は、混合物を譲渡提供するときは、その混合物の危険性及び有害性を伝達しなければならない。

そして、混合物全体として有害性の分類がなされていれば、その有害性について伝達する。混合物としてのデータがなければ、つなぎの理論などによって、混合物の危険性又は有害性を算定して提供する。

ただ、我が国の場合、含有する成分のうち、通知対象物のみをその成分ごとに分類し、成分ごとに所定の事項を記載することでもかまわないとされている。

(4)誤り。これも誤りである。危険有害性に関するデータが存在しない場合は、「分類できない」とする。なお、これは「区分」ではない。

(5)正しい。9つの標章は、“炎”“円上の炎”“爆弾の爆発”“腐食性”“ガスボンベ”“どくろ”“感嘆符”“環境”“健康有害性”の9種類である。なお、円上の炎は支燃性/酸化性ガス等を表しているが、この円を酸素を表す“O”だと考えると覚えやすい。

  1. 1)化学物質国際対応ネットワーク「各国の化学品分類とJIS規格の比較」(化学物質国際対応ネットワークWEBサイト)
2019年12月01日執筆 2020年05月30日修正