労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生一般 問19

局所排気装置




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問19 難易度 局所排気装置に関する基本的な知識問題。確実に正答できなければならない。
局所排気装置

問19 局所排気装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ダクト内を流れる気体は、分子の熱運動による静圧、運動のエネルギーに相当する速度圧(動圧)及び位置(高さ)のエネルギーに相当する位置圧を持っている。

(2)ダクト内の静圧は、大気圧と比較して吸引ダクト内ではマイナス、排気ダクト内ではプラスである。

(3)気体がダクト内を流れる場合には、粘性による流体摩擦などによってエネルギーが失われる。

(4)ダクトは、断面積が大きいほど圧力損失は大きくなり、気流速度が小さくなるので、粉じんが堆積しやすくなる。

(5)ダクト内に気体を流すためには、ファンによって圧力損失に相当するエネルギーを加えることが必要である。

正答(4)

【解説】

本問は、局所排気装置の設計について学習していないと、問題を見ただけであきらめてしまうかもしれないが、それはあまりにももったいない。5つの選択肢のうち(2)、(3)(5)は常識で考えて正しいと分かる。(1)はベルヌーイの定理の意味を分かっていれば、正しいと見当がつく。うろ覚えであっても原理が分かっていれば正答に達することのできる問題である。

(1)正しい。ベルヌーイの定理は、流体の持つエネルギーはエネルギーの出入がなければ一定であるという当然のことを言っている。そして流体のエネルギーは、運動エネルギー、位置エネルギー、圧力と体積の積で表せる分子の運動によるエネルギーの3つの合計となる。

これらのエネルギーを圧力で表現すると本肢のとおりとなる。

(2)正しい。これは常識で考えれば答えは出る。大気圧と比較して圧力が低くないと吸引できないし、高くなければ排出されないだろう。

(3)正しい。これも当然であろう。摩擦があれば、そこには音、熱、振動などが発生する。それらのエネルギーが流体から失われるのは当然である。

(4)誤り。これも常識で考えれば判断できる。断面積が大きくなって圧力損失が大きくなるわけがないだろう。なお円形の直線ダクトの場合、圧力損失Hfは、

Hf= λL × V2 ×ρ=0.6× λL V2
D 2 D

※:Hf:圧力損失     λ:管摩擦係数

L:ダクトの長さ   D:ダクトの直径

V:風速       ρ:密度(空気の場合1.2[kg/m3])

によって表せる。

なお、ダクトの断面積が大きいほど、圧力損失は小さくなるが、気流速度が小さくなるため、粉じんが落ちてダクト内に堆積しやすくなるので、結論は正しい。

(5)正しい。これも当然であろう。圧力損失によるエネルギーを補わなければ、気流が流れるわけがない。

2019年12月01日執筆 2020年05月05日修正