労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生一般 問14

栄養と代謝




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問14 難易度 栄養と代謝に関するやや高度な知識問題。近年はあまり出題されない範囲の問題である。
栄養と代謝

問14 栄養と代謝に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)脂質は、糖質やタンパク質に比べて多くのATP(アデノシン三リン酸)を産生することができる。

(2)糖質は、消化吸収された後、一部は肝臓でグリコーゲンに合成される。

(3)タンパク質代謝により生じたアミノ酸は、肝臓で分解され、アンモニアとして、尿中に排出される。

(4)ビタミンB 群及びビタミンC は水溶性ビタミンであり、ビタミンD 及びビタミンE は脂溶性ビタミンである。

(5)ブドウ糖は、脳のエネルギー源として利用される。

正答(3)

【解説】

(1)適切である。3大栄養素である脂質、糖質及びタンパク質は、アセチルCoAを経るなどによりATPを産出することができる。そして、このATPを分解することによってエネルギーを生じる。すなわち、ATPとはエネルギーを生み出すための燃料なのである。

脂質1gで得られるエネルギーの量は約9kcalであり、炭水化物(糖質と食物繊維の総称)とたんぱく質は、それぞれ約4kcalである。従って、脂質は少量で多くのエネルギー源となる。

(2)適切である。消化吸収されて肝臓に取り込まれた糖質の一部は、グリコーゲンに合成されたり、脂肪酸や非必須アミノ酸の合成に利用されたりする。

(3)適切ではない。本肢前段でタンパク質が代謝によりアミノ酸を生じるとされていることは正しい。しかし、余分なアミノ酸は肝臓で尿素(CO(NH2)2)に代謝されて尿中へ排出される。アンモニアになるわけではない。

(4)適切である。現在、発見されているビタミンは13種類あり、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分類できる。脂溶性ビタミンはA、D、E、Kの4種類。水溶性はB1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、Cの9種類である。

水溶性のビタミンは過剰に摂取されても排出されやすく、脂溶性ビタミンは脂肪組織や肝臓等に貯蔵されやすい。通常、オクタノール-水分配係数によって表される。

(5)適切である。これは解説するまでもないだろう。脳以外の身体の器官は、炭水化物、脂肪、タンパク質の3大栄養素のすべてについてエネルギーとして用いることができるが、脳がエネルギーにできるものはブドウ糖(及びケトン体)のみであり、脂肪酸を直接用いることはできない。そして、体の通常のエネルギーの20%程度は脳で消費される。

2019年12月01日執筆 2020年05月04日修正