労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生一般 問12

交感神経と副交感神経の作用




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問12 難易度 交感神経と副交感神経の作用に関するやや高度な知識問題。できれば正答したい問題である。
交感神経と副交感神経

問12 交感神経と副交感神経の作用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)汗腺による汗の分泌は、交感神経により抑制され、副交感神経により促進される。

(2)顔面血管は、交感神経により収縮し、副交感神経により拡張する。

(3)瞳孔は、交感神経により散大し、副交感神経により縮小する。

(4)気管支平滑筋は、交感神経により弛緩し、副交感神経により収縮する。

(5)食道筋は、交感神経により弛緩し、副交感神経により収縮する。

正答(1)

【解説】

交感神経とは緊急事態に対応できるよう身体の体制を整えるためのものであり、副交感神経はその逆だと思えばよい。例えば、草食動物が肉食動物に襲われたような場合に働くのが交感神経である。

交感神経が働いた場合のことは、草食動物が敵に襲われたときのことを考えてみれば分かりやすい。副交感神経は、この逆だと考えればよい。

① 瞳孔は拡大して敵を見逃さないようにする。

② 心臓は鼓動を速めて逃走のためのエネルギーを筋肉に送り込む。

③ ただし、肉食動物に咬まれた傷から出血しないように血管は収縮し、同じ理由で立毛筋も収縮する。

④ 逃走又は闘争のためのエネルギーを発生させるため、副腎はアドレナリンを分泌し、肝臓はグリコーゲンを分解する。

⑤ 胃腸は分泌を抑制しかつ動きも減る。余計なエネルギーを使わないためである。

⑥ 膀胱や直腸の筋肉は排泄を抑制する。排泄をしている場合ではない。

⑦ 体温を冷やすために発汗量は増加する。逃走のために体温が上がるからである。

⑧ 気管の平滑筋は緩んで気管の内径を広げる。逃走のエネルギーを確保するため、呼吸量を増やす必要があるからである。

⑨ 消化運動は抑制される。消化をしている場合ではあるまい。余計なことにエネルギーを使ってはならない。

(1)誤り。上記⑦による。汗腺による汗の分泌は、交感神経により促進され、副交感神経により抑制される。

(2)正しい。上記③による。顔面血管は、交感神経により収縮し、副交感神経により拡張する。

(3)正しい。上記①による。瞳孔は、交感神経により散大し、副交感神経により縮小する。

(4)正しい。上記⑧による。気管支平滑筋は、交感神経により弛緩し、副交感神経により収縮する。

(5)正しい。上記⑤による。交感神経により弛緩し、副交感神経により収縮する。

2019年12月01日執筆 2020年05月04日修正