問11 高血圧症に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)塩分の過剰摂取は、高血圧症の発症に必須の要因である。
(2)高血圧症は、作業関連疾患の一つである。
(3)高血圧症は、脳梗塞の発症要因の一つである。
(4)生活習慣としての有酸素運動は、高血圧症の予防に有効である。
(5)保健指導を伴う血圧測定は、高血圧症の予防に有効である。
このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
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2015年度(平成27年度) | 問11 | 難易度 | 高血圧症に関するごく初歩的な知識問題。ほぼ常識レベルの問題である。 |
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高血圧症 | 1 |
問11 高血圧症に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)塩分の過剰摂取は、高血圧症の発症に必須の要因である。
(2)高血圧症は、作業関連疾患の一つである。
(3)高血圧症は、脳梗塞の発症要因の一つである。
(4)生活習慣としての有酸素運動は、高血圧症の予防に有効である。
(5)保健指導を伴う血圧測定は、高血圧症の予防に有効である。
正答(1)
【解説】
(1)誤り。高血圧の原因には、遺伝的要素の他、運動不足、食生活、ストレス、喫煙などの生活習慣が関係している。
とくに食生活における食塩の摂取量が強く関係しており、1970年代に行われた疫学調査によると、食塩の摂取量が1日当たり5g未満の集団は高血圧の頻度が少なく、25gを超えると高くなるという結果が出た。しかし、食塩の摂取量が少なければ高血圧にならないというわけではない。
なお、食塩摂取と血圧が関係する「食塩感受性」の者と、食塩摂取と血圧とが関係しない「食塩非感受性」の者がいるとの説がある。これによると、日本人は「食塩感受性」の遺伝子を持つ者が20%程度、「食塩非感受性」が50%程度、残り30%程度は食塩と他の要因が結びついて血圧が上がる可能性が指摘されている。
「必須の要因」などと、いかにも怪しげな肢であるが、その通りに本肢が正答となる。
(2)正しい。作業関連疾患とは、作業の形態、作業環境や作業条件などによって、発症率が高まったり、症状が増悪したりする疾患のことである。ほとんどの生活習慣病は作業関連疾患になると考えてよい。なぜなら、生活習慣病のほとんどがストレスに関係しており、ストレスは作業環境等も原因となるからである。
うつ病、アルコール依存、胃潰瘍などのストレスと明確に関連のある疾患はいうに及ばず、心疾患・脳血管疾患などの循環器系疾患のほとんどが含まれる。近年では、癌、腰痛、肩こりなども作業関連疾患に含まれると考えられている。
高血圧症もそのひとつである。
(3)正しい。これは解説するまでもないだろう。脳梗塞の発症の背景には動脈硬化がある。そして動脈硬化を促進するのが、喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などの生活習慣である。
なお、電気工学で安全コンサルタントを受験される方は、脳梗塞が、心房細動によっても発症し、感電災害が原因となることもあることを覚えておこう。
(4)正しい。脳梗塞の予防には、高血圧や糖尿病にならないようにすることが重要である。塩分を控えめとし、野菜や果物の摂取を心がけること、また、喫煙や過度の飲酒を避けることも有効である。
その他、本肢にあるように、有酸素運動運動が有効となる。
(5)正しい。高血圧は脳梗塞の原因であり、保健指導を伴う血圧測定は、その予防に有効であろう。