労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生一般 問10

眼の特性




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問10 難易度 眼の特性に関する基本的な知識問題。中学生レベルの知識で正答可能である。
眼の特性

問10 眼の特性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)瞬目の頻度は、注視しているときよりもリラックスしているときの方が低い。

(2)焦点調節は、硝子体の厚みを変化させることにより行われている。

(3)近視とは、眼球内に入ってきた平行光線が網膜の後ろで焦点を結ぶ状態をいう。

(4)焦点調節機能よりも光量調節機能の方が、年齢による影響を受けやすい。

(5)眼は、外界の明るさの変化に対して、瞳孔径の変化のほかに網膜の順応によっても対応している。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。瞬目(しゅんぼく:まばたきのこと)は、一般には、随意性瞬目、反射性瞬目及び自発性瞬目の3種に分類される。瞬目の大半は自発性瞬目であるが、これは認知、感情、注意などの心理状態と関連する。怒っているとき、緊張しているとき、複雑な思考をしているときには瞬眼の回数は増加する。

しかしながら、塚原他「視聴反応の客観的測定法の開発」(1978年)によれば、休憩時と比較すると、テレビ視聴時には瞬目率は低下し、そのテレビ番組に対する主観的な評価との間に負の相関が認められたという。また、津田他「主観的興味が瞬目率と体動の生起頻度に及ぼす影響」(1990年)によれば、異性ヌードの画像を提示すると、風景画像のようなものを提示したときよりも瞬目率は抑制されるとする。

VDT作業では注視により瞬目回数がリラックス時の約4分の1に減少することが知られており、また、リラックスしているときの瞬きの回数は1分に約20回であるが、読書時には約10回に、パソコンやテレビゲームを行っているときは5~6回に減少するという報告もある。

従って、本肢は誤っている。

(2)誤り。焦点調節は、水晶体の厚みを変化させることによって行われている。

見え方の仕組みのイラスト

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(3)誤り。近視とは、眼球内に入ってきた平行光線が網膜より前で焦点を結ぶ状態をいう。

(4)誤り。加齢に伴って、水晶体は弾力がなくなるため、焦点を調節する機能が衰える。これにより、網膜での焦点を調節する機能が低下する。また、虹彩も加齢と共に縮小する。これにより、瞳孔の大きさを調整する機能が低下するため、光量を調節する機能が低下し、暗くなると見えにくくなったり、色の濃淡を識別しにくくなったりする。

一般には、年齢による影響は焦点調節機能の方に大きく出る。

(5)正しい。カメラは、明暗を調節するために、絞り、シャッター速度、フィルム感度で対応する。

眼の機能では、カメラの絞りに対応するのが虹彩による同行の大きさの調節である。シャッター速度に対応する機能は眼にはない。フィルム感度に対応するのが視細胞の感度の変化である。

そして、眼が周辺の明るさの変化に対応するのは、視細胞の感度の変化によるところが大きい。明るくなれば視細胞の感度が鈍感になり、暗くなれば敏感になる。そして、周囲の光量がきわめて少なくなると、錐体に代わってより高感度な杆体が働くようになる。ただし、杆体は色の認識はできず、明暗のみしか判別できない。

従って、本肢は正しい。

2019年12月01日執筆 2020年05月04日修正