労働衛生コンサルタント試験 2015年 労働衛生一般 問02

有害物質の空気中での性状




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問02 難易度 有害物質の空気中での性状に関する知識問題。合否を分けるレベルだろう。確実に正答したいところ。
有害物質の空気中の性状

問02 有害物質の空気中での性状などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)金属の蒸気が空気中で凝固や化学変化を起こし、固体の粒子として空気中に浮遊しているものは、ヒュームである。

(2)クロム酸などを含んだ液体の微細な粒子が、空気中で固化し、固体の粒子として浮遊しているものは、ミストである。

(3)常温で固体であっても昇華性の化学物質は、空気中では固体粒子と気体の両方の形で存在することがある。

(4)一般に、ヒュームはミストに比べて、粒径が小さい。

(5)固体に研磨、粉砕などの機械的な作用を加えて発生した固体の粒子が空気中に浮遊しているものは、粉じんである。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。アーク溶接作業を観察すると、白い煙のようなものが上がっている。これがヒュームである。アーク中の温度は金属の沸点よりもかなり高いため、金属が気化して気体となって作業環境中に放出されるが、この気体が作業空間中で冷やされて固体になる。

なお、この固体はきわめて微細で、かなり正確な球形や結晶状など整った形をして、それが連なっている。粉じんに比較すると粒径が小さいので沈降しにくい。

(2)誤り。ミストとは、蒸発した気体が空気中で液化したり、スプレー作業などによって作業空間中に浮遊する液体の微細な粒子(飛沫)のことである。あくまでもミストとは液体の微細な粒子である。固体の粒子はミストとは呼ばない。

(3)正しい。昇華とは固体から気体へ変化することである。昇華性物質は常温で固体と気体の双方で存在し得る。

(4)正しい。ヒュームは気体が空気中で凝固して個体になったもので、一般に粒径が小さく0.1~1µm程度である。ミストはスプレー作業やバブリングによって空気中に出てくる液体の粒子で5~150µm程度である。

(5)正しい。固体の微細な粒子を粉じんと呼ぶ。産業保健の分野の英語ではパウダー又はダストと呼ぶ。

なお、明確な大きさの定義があるわけではないが、空気中に浮遊するようなものを粉じんと呼び、0.5~150µm程度のものを指すことが多い。これは、空気中に浮遊していなくても粉じんである。球形とは限らず、様々な形状をしている。

2019年12月01日執筆 2020年05月03日修正