労働衛生コンサルタント試験 2014年 労働衛生関係法令 問14

鉛中毒予防規則




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問14 難易度 鉛中毒予防規則に関するやや詳細な知識問題である。難問の部類だろうか。
鉛中毒予防規則

問14 鉛業務に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

ただし、鉛業務は隔離室における遠隔操作によるものではないものとし、また、鉛中毒予防規則に定める適用除外及び設備の特例はないものとする。

(1)自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務に係る作業については、鉛作業主任者の選任が義務付けられていない。

(2)鉛業務に労働者を従事させるときは、鉛業務を行う作業場以外の場所に休憩室を設けなければならない。

(3)鉛ライニングの業務に常時従事する労働者に対しては、雇入れの際、当該業務に配置替えの際及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、所定の項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

(4)鉛の精錬を行う工程における熔焼の業務を行う作業場所に設けたプッシュプル型換気装置については、1年を超える期間使用しない場合を除き、1年以内ごとに1回、所定の事項について自主検査を行わなければならない。

(5)鉛化合物を製造する工程における鉛等の溶融の業務を行う屋内の作業場所に設けた局所排気装置については、サイクロンによる除じん装置又はこれと同 等以上の性能を有する除じん装置を設けなければならない。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。作業主任者の選任が必要な作業は安衛令第6条に定められているが、同条第十三号は、別表第4の一号から第十号までを挙げる。ここには、自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務に係る作業は含まれていない。

【労働安全衛生法】

(作業主任者)

第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第十四条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

一~十八 (略)

十九 別表第四第一号から第十号までに掲げる鉛業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除く。)に係る作業

二十~二十三 (略)

別表第4 鉛業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一~十二 (略)

十三 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務(臨時に行なう業務を除く。次号から第十六号までにおいて同じ。)

十四~十八 (略)

(2)正しい。鉛則第45条第1項のままである。

【鉛中毒予防規則】

(休憩室)

第45条 事業者は、鉛業務に労働者を従事させるときは、鉛業務を行なう作業場以外の場所に休憩室を設けなければならない。

 (略)

(3)正しい。特殊健康診断を義務付ける安衛法第66条第2項前段の対象は、安衛令第22条第1項に定められており、「鉛ライニングの業務」は同項第四号に該当する(別表第4第七号)。そして、鉛則第53条は安衛令第22条第四号の業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、所定の項目について、医師による健康診断(鉛健康診断)を行わなければならないとしている。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 (略)。

 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。(後段略)

3~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(健康診断を行うべき有害な業務)

第22条 法第六十六条第二項前段の政令で定める有害な業務は、次のとおりとする。

一~三 (略)

 別表第四に掲げる鉛業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除く。)

五及び六 (略)

2及び3 (略)

別表第4 鉛業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一~六 (略)

 鉛ライニングの業務(仕上げの業務を含む。)

八~十八 (略)

【鉛中毒予防規則】

(健康診断)

第53条 事業者は、令第二十二条第一項第四号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後六月(令別表第四第十七号及び第一条第五号リからルまでに掲げる鉛業務又はこれらの業務を行う作業場所における清掃の業務に従事する労働者に対しては、一年)以内ごとに一回、定期に、次の項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

一~五 (略)

2及び3 (略)

(4)正しい。「鉛の精錬を行う工程における熔焼の業務」は、鉛則第1条第5号イにより鉛業務に該当する。そして、同規則第5条(第一号)の規定により、局所排気装置又はプッシユプル型換気装置を設けなければならない。

そして、このプッシュプル型換気装置については、同規則第35条の規定により、1年を超える期間使用しない場合を除き、1年以内ごとに1回、所定の事項について自主検査を行わなければならない。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第四十五条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

一~八 (略)

 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの

十及び十一 (略)

 (略)

【鉛中毒予防規則】

(定義)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 鉛業務 次に掲げる業務並びに令別表第四第八号から第十一号まで及び第十七号に掲げる業務をいう。

 鉛の製錬又は精錬を行なう工程における焙焼、焼結、溶鉱又は鉛等若しくは焼結鉱等の取扱いの業務

ロ~ワ (略)

(鉛製錬等に係る設備)

第5条 事業者は、第一条第五号イに掲げる鉛業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。

 焙焼、焼結、溶鉱又は鉛等若しくは焼結鉱等の溶融、鋳造若しくは焼成を行なう作業場所に、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けること。

二~五 (略)

(局所排気装置等の定期自主検査)

第35条 令第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び除じん装置(鉛業務に係るものに限る。)は、第二条に規定する局所排気装置、第五条から第二十条までの規定により設ける局所排気装置及びプッシュプル型換気装置並びに第二十六条の規定により設ける除じん装置とする。

 事業者は、前項の局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び除じん装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~三 (略)

 (略)

(5)誤り。鉛化合物を製造する工程における鉛等の溶融の業務を行う屋内の作業場所に設けた局所排気装置については、粉じん則第26条第1項の表によりろ過除じん方式の除じん装置又はこれと同 等以上の性能を有する除じん装置を設けなければならない。

【鉛中毒予防規則】

(定義)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 鉛業務 次に掲げる業務並びに令別表第四第八号から第十一号まで及び第十七号に掲げる業務をいう。

イ~ホ (略)

 鉛化合物を製造する工程において鉛等の溶融、鋳造、粉砕、混合、空冷のための攪拌、ふるい分け、煆焼、焼成、乾燥若しくは運搬をし又は粉状の鉛等をホツパー、容器等に入れ、若しくはこれらから取り出す業務

ト~ワ (略)

(除じん装置)

第26条 事業者は、次の表の上欄に掲げる鉛業務について設ける同表の下欄に掲げる設備には、ろ過除じん方式の除じん装置又はこれと同等以上の性能を有する除じん装置を設けなければならない。

2及び3 (略)

(略) (略)
(略) (略)
第一条第五号ヘに掲げる鉛業務

一 煆焼炉又は焼成炉に直結する設備で当該炉から排気される鉛を含有する気体を排出するもの

二 第十条の規定により設ける局所排気装置又はプッシュプル型換気装置

(略) (略)
2020年05月16日執筆