労働衛生コンサルタント試験 2014年 労働衛生一般 問25

労働衛生保護具




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問25 難易度 労働衛生保護具に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
労働衛生保護具

問25 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ニトリルゴム製の化学防護手袋は、耐油性にすぐれ、ガス透過性も低い。

(2)メタノールに対して使用した防毒マスクは、再使用を避ける。

(3)遮光保護具は、作業条件に応じて JIS で定めた遮光度番号により、適切に選択することができる。

(4)レーザ用保護めがねは、直接ビームに対しても使用可能である。

(5)防音保護具である耳栓には、高い周波数域を遮音するものと、低い周波数から高い周波数までを遮音するものとの 2 種類がある。

正答(4)

【解説】

(1)誤りとはいえない。「すぐれ」ているかどうか、「低い」かどうかは比較の問題なので、明確に正誤を決められるものではない。しかし。平成29年1月12日化学物質対策課長事務連絡「化学防護手袋の選択、使用等に係る参考資料の送付等について」には、ニトリルゴム(NBR)は「耐油性及び耐摩耗性に優れています」とされている。

また、剣菱1)は、各種のゴムに対する各種のガスの透過度をまとめている。これによるとニトリルゴム(NBR)のガス透過性は比較的低いと言ってよい。

(2)正しい。平成17年2月7日基発第0207007号「防毒マスクの選択、使用等について」の第1の3(6)には、「メタノール、二硫化炭素等破過時間が試験用ガスの破過時間よりも著しく短い有害物質に対して使用した吸収缶は、吸収缶の吸収剤に吸着された有害物質が時間と共に吸収剤から微量ずつ脱着して面体側に漏れ出してくることがあるため、再使用させないこと」とされている。

(3)正しい。遮光保護具は、作業条件に応じて JIS T 8141:2016で定めた遮光度番号により、適切に選択することができる。なお、「遮光度番号の大きいフィルタ(おおむね 10 以上)を使用する作業においては、必要な遮光度番号より小さい番号のものを2枚組み合わせて,それに相当させて使用するのが望ましい」。2)

(4)誤り。レーザ用保護めがねについては公的な基準が定められていないが、基本的に「ビームが直接照射された場合にその状態から回避する時間内での保護」の役割という考え方で設計されている。レーザ保護めがねのフィルタに直接レーザビームを当てれば損傷するおそれがある。また、「完全吸収型」とされているものであっても、レーザ光を完全に吸収するわけではない。

なお、石場3)、石渡他4)など多くのテキストは、レーザ用保護めがねの選択に当たっては、保護めがねのフィルタは、レーザ装置から放射されたレーザが正面から直接めがねに入射した場合であっても、少なくとも目の開口部に入射するレーザーを目前で遮光する機能を持つ必要があるとしている。

(5)正しい。耳栓の第1種型は低音から高音まで遮へいし、第2種型は(完全ではないにせよ)高音のみを遮音するようになっている。

表 防音保護具(JIST8161)
種類 記号 周波数(Hz)
125 250 500 1000 2000 4000 8000
耳栓 1種 Ep-1 10dB以上 15dB以上 15dB以上 20dB以上 25dB以上 25dB以上 20dB以上
耳栓 2種 Ep-2 10dB以上 10dB以上 10dB以上 20dB以上 20dB以上 25dB以上 20dB以上
耳覆い EM 5dB以上 10dB以上 10dB以上 25dB以上 35dB以上 35dB以上 20dB以上
  1. 1)剣菱浩「ゴムのガス透過性」(日本ゴム協会誌 第53巻 第12号 1980年)
  2. 2)日本工業規格「遮光保護具」(JIS T 8141:2016)
  3. 3)石場義久「レーザー用保護めがねの使用時における留意点」(日本レーザー医学会誌40巻2号 2019年)
  4. 4)石渡裕政「レーザー医学・医療における安全対策」(日本レーザー医学会誌32巻4号 2012年)
2020年05月23日執筆