労働衛生コンサルタント試験 2014年 労働衛生一般 問19

特定化学物質の用後処理




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問19 難易度 特定化学物質の用後処理に関するやや高度な知識問題である。難問だが正答しておきたいところ。
特定化学物質の用後処理

問19 特定化学物質を取り扱うに当たり、注意しなければならない事項として用後処理があるが、これに関する次の記述のうち適切でないものはどれか。

(1)用後処理には、除じん、排ガス処理、排液処理及び残さい物処理がある。

(2)排出される粉じんを重量法で測定したところ、最大頻度を示した粒径が 10 µm であったのでスクラバによる除じん方式を用いて除じんすることとした。

(3)アルキル水銀化合物を含有する残さい物を廃棄することになったので、これをそのまま不浸透性の容器に入れ、密閉して廃棄した。

(4)掃除や拭き取りなどに使用したぼろや紙くず等を、作業者が触れることがないように、そのまま不浸透性の容器に納め、ふたをした。

(5)シアン化ナトリウムを含む廃液を処理するために活性汚泥方式の排液処理装置を設けている。

正答(3)

【解説】

(1)適切である。特化則第3章の「用後処理」には、除じん(第9条)、排ガス処理(第10条)、排液処理(第11条)及び残さい物処理(第12条)が示されている。

(2)適切である。特化則第9条第1項の表により、排出される粉じんの重量法で測定した最大頻度を示した粒径が5µm以上、20µm未満の場合、スクラバによる除じん方式による除じんが認められている。

【特定化学物質障害予防規則】

(除じん)

第9条 事業者は、第二類物質の粉じんを含有する気体を排出する製造設備の排気筒又は第一類物質若しくは第二類物質の粉じんを含有する気体を排出する第三条、第四条第三項若しくは第五条第一項の規定により設ける局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置には、次の表の上欄に掲げる粉じんの粒径に応じ、同表の下欄に掲げるいずれかの除じん方式による除じん装置又はこれらと同等以上の性能を有する除じん装置を設けなければならない。

粉じんの粒径

(単位 マイクロメートル)

除じん方式
五未満

ろ過除じん方式

電気除じん方式

五以上二十未満

スクラバによる除じん方式

ろ過除じん方式

電気除じん方式

二十以上

マルチサイクロン(処理風量が毎分二十立方メートル以内ごとに一つのサイクロンを設けたものをいう。)による除じん方式

スクラバによる除じん方式

ろ過除じん方式

電気除じん方式

備考 この表における粉じんの粒径は、重量法で測定した粒径分布において最大頻度を示す粒径をいう

2及び3 (略)

(3)適切ではない。特化側第12条の規定により、アルキル水銀化合物を含有する残さい物をそのまま廃棄してはならない。

【特定化学物質障害予防規則】

(残さい物処理)

第12条 事業者は、アルキル水銀化合物を含有する残さい物については、除毒した後でなければ、廃棄してはならない。

(4)適切である。特化側第12条の2に適合している。

【特定化学物質障害予防規則】

(ぼろ等の処理)

第12条の2 事業者は、特定化学物質(クロロホルム等及びクロロホルム等以外のものであつて別表第一第三十七号に掲げる物を除く。第二十二条第一項、第二十二条の二第一項、第二十五条第二項及び第三項並びに第四十三条において同じ。)により汚染されたぼろ、紙くず等については、労働者が当該特定化学物質により汚染されることを防止するため、ふた又は栓をした不浸透性の容器に納めておく等の措置を講じなければならない。

(5)適切である。特化則第11条に適合している。

【特定化学物質障害予防規則】

(排液処理)

第11条 事業者は、次の表の上欄に掲げる物を含有する排液(第一類物質を製造する設備からの排液を除く。)については、同表の下欄に掲げるいずれかの処理方式による排液処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する排液処理装置を設けなければならない。

処理方式
アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基又はエチル基である物に限る。以下同じ。) 酸化・還元方式
塩酸 中和方式
硝酸 中和方式
シアン化カリウム

酸化・還元方式

活性汚泥方式

シアン化ナトリウム

酸化・還元方式

活性汚泥方式

ペンタクロルフエノール(別名PCP)及びそのナトリウム塩 凝集沈でん方式
硫酸 中和方式
硫化ナトリウム 酸化・還元方式

2及び3 (略)

2020年05月23日執筆