労働衛生コンサルタント試験 2014年 労働衛生一般 問03

粉じん作業及びじん肺健康診断




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問03 難易度 粉じん作業による健康障害防止に関する基本的な知識問題。確実に正答できるようにしたい。
粉じん作業/じん肺健診

問03 粉じん作業及びじん肺健康診断に関する次の記述の うち、適切でないものはどれか。

(1)全国のじん肺新規有所見労働者は、近年、年間で300 人を超えている。

(2)屋外におけるアーク溶接作業は、場合によっては屋内で行う場合と同等の粉じんばく露のおそれがある。

(3)喫煙が加わると、じん肺有所見労働者の肺がんの発生リスクが上昇する。

(4)作業場ごとに、保護具着用管理責任者を選任する。

(5)じん肺には根本的な治療方法がないため、粉じんへのばく露防止対策の徹底が重要である。

正答(1)

【解説】

(1)適切ではない。全国のじん肺新規有所見労働者数は、平成27年(2015年)には106人であった。近年、年間で300 人を上回ることはない。

(2)適切である。平成24年2月7日基発0207第1号「粉じん障害防止規則及びじん肺法施行規則の一部を改正する省令の施行について」に「屋外におけるアーク溶接作業と屋外における岩石等の裁断等作業においても、屋内で行う場合と同等の粉じんばく露のおそれがあることが認められた」とある。

しかし、この通達に待つまでもなく、屋外であっても無風状態であれば、局所排気装置を設置している屋外よりもばく露濃度が高くなり得ることは当然であろう。

(3)適切である。これは当然であろう。なお、「第9次粉じん障害防止総合対策通達)」の別添には「じん肺有所見労働者は、喫煙が加わると肺がんの発生リスクがより一層上昇する」とされている。

なお、厚生労働省が平成27年度に委託事業で作成した「じん肺有所見者に対する健康管理教育~指導者用テキスト~」には、「特に石綿肺の方が喫煙を続けていますと、タバコを吸わない一般の健康な人に比べて、数十倍も肺がんになるおそれがあるといわれております」との表現がある。

(4)適切である。第9次粉じん障害防止総合対策の別添には、「平成17年2月7日付け基発第0207006号『防じんマスクの選択、使用等について』に基づき、作業場ごとに、『保護具着用管理責任者』を、衛生管理者、安全衛生推進者又は衛生推進者等労働衛生に関する知識、経験等を有する者から選任すること」とされている。

(5)適切である。これも解説する必要はあるまい。(3)に示した「じん肺有所見者に対する健康管理教育~指導者用テキスト~」には、「現在の医学では、じん肺で破壊された肺をもとにもどす有効な治療の方策はないため、これ以上肺を破壊しないことと肺の機能を少しでも回復することが大切です」とされている。

2020年05月17日執筆