労働衛生コンサルタント試験 2013年 労働衛生関係法令 問15

石綿障害予防規則の規定




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 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問15 難易度 石綿則に関する基本的な内容の知識問題である。確実に正答できなければならない。
石綿障害予防規則

問15 石綿障害予防規則に基づく措置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)石綿等を取り扱う作業に労働者を従事させるときは、洗眼、洗身又はうがいの設備、更衣設備及び洗濯のための設備を設けなければならない。

(2)石綿等を常時取り扱う作業場の床等については、水洗する等粉じんの飛散しない方法によって、毎日1回以上、掃除を行わなければならない。

(3)石綿等を取り扱う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定を行い、その都度、測定結果等所定の事項を記録し、これを40年間保存しなければならない。

(4)石綿等の粉じんが発散する屋内作業場に設けられた局所排気装置については、原則として、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行い、検査の結果等所定の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。

(5)石綿等を取り扱う作業に常時従事する労働者については、1か月を超えない期間ごとに、従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間等所定の事項を記録し、これを当該労働者が当該事業場において初めて当該作業に従事した日から40年間保存するものとする。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。石綿則第31条の規定により、石綿等を取り扱う作業に労働者を従事させるときは、洗眼、洗身又はうがいの設備、更衣設備及び洗濯のための設備を設けなければならない。

【石綿障害予防規則】

(洗浄設備)

第31条 事業者は、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業又は石綿分析用試料等を製造する作業に労働者を従事させるときは、洗眼、洗身又はうがいの設備、更衣設備及び洗濯のための設備を設けなければならない。

(2)正しい。石綿則第30条の規定により、石綿等を常時取り扱う作業場の床等については、水洗する等粉じんの飛散しない方法によって、毎日1回以上、掃除を行わなければならない。

【石綿障害予防規則】

(床)

第29条 事業者は、石綿等を常時取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業場又は石綿分析用試料等を製造する作業場及び前条第一項の休憩室の床を水洗等によって容易に掃除できる構造のものとしなければならない。

(掃除の実施)

第30条 事業者は、前条の作業場及び休憩室の床等については、水洗する等粉じんの飛散しない方法によって、毎日一回以上、掃除を行わなければならない。

(3)正しい。石綿則第36条第1項の規定により、石綿等を取り扱う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定を行わなければならない。また、同条第2項により、その都度、測定結果等所定の事項を記録し、これを40年間保存しなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~六 (略)

 (前略)石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する屋内作業場若しくは石綿分析用試料等を製造する屋内作業場(後略)

八~十 (略)

【石綿障害予防規則】

(測定及びその記録)

第36条 事業者は、令第二十一条第七号の作業場(石綿等に係るものに限る。)について、六月以内ごとに一回、定期に、石綿の空気中における濃度を測定しなければならない。

 事業者は、前項の規定による測定を行ったときは、その都度次の事項を記録し、これを四十年間保存しなければならない。

一~七 (略)

(4)正しい。石綿等の粉じんが発散する屋内作業場に設けられた局所排気装置については、安衛令第15条(第九号)及び石綿則第21条(第一号)の規定により定期自主検査の対象となる。

定期自主検査は、石綿則第22条第1項により、原則として、1年以内ごとに1回、定期に行わなければならない。また、石綿則第23条の規定により、検査の結果等所定の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第四十五条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

一~八 (略)

 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの

十及び十一 (略)

【石綿障害予防規則】

(作業に係る設備等)

第12条 事業者は、石綿等の粉じんが発散する屋内作業場については、当該粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。ただし、当該粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置が著しく困難なとき、又は臨時の作業を行うときは、この限りでない。

 (略)

(定期自主検査を行うべき機械等)

第21条 令第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び除じん装置(石綿等に係るものに限る。)は、次のとおりとする。

 第十二条第一項の規定に基づき設けられる局所排気装置

二及び三 (略)

(定期自主検査)

第22条 事業者は、前条各号に掲げる装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の各号に掲げる装置の種類に応じ、当該各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同条の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~三 (略)

 (略)

(定期自主検査の記録)

第23条 事業者は、前条の自主検査を行ったときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。

一~六 (略)

(5)誤り。石綿則第35条の規定により、石綿等を取り扱う作業に常時従事する労働者については、1か月を超えない期間ごとに、従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間等所定の事項を記録しなければならないことは正しい。

しかし、その記録は、その労働者がその事業場において常時その作業に従事しないこととなった日から40年間保存するものとされている。その労働者がその事業場において初めて当該作業に従事した日から40年間ではない。

その労働者がその事業場において初めて当該作業に従事した日から40年間では、その作業場で30年間その作業に従事したものは、作業を離れてから10年しか記録が保存されないこととなってしまう。仕事を離れてから40年近くたって発病することがあり得るのだから、おかしいと気付かなければならない。

※ 石綿則第35条は、改正により本問出題当時とは異なっているが結論に変わりはない。

【石綿障害予防規則】

(作業の記録)

第35条 事業者は、石綿等の取扱い若しくは試験研究のための製造又は石綿分析用試料等の製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所において常時作業に従事する労働者について、一月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを当該労働者が当該事業場において常時当該作業に従事しないこととなった日から四十年間保存するものとする。

 (略)

 石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業又は石綿分析用試料等を製造する作業に従事した労働者にあっては、従事した作業の概要、当該作業に従事した期間、当該作業(石綿使用建築物等解体等作業に限る。)に係る事前調査(分析調査を行った場合においては事前調査及び分析調査)の結果の概要並びに次条第一項の記録の概要

三及び四 (略)

2021年02月13日執筆 2022年02月07日最終改訂

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