労働衛生コンサルタント試験 2013年 労働衛生関係法令 問08

労働安全衛生法令上の健康管理




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 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問08 難易度 やや詳細な内容を問うている。正答にはかなりの知識が必要である。難問の部類だっただろう。
安衛法令上の健康管理

問8 健康管理に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)都道府県労働局長は、重度の健康障害を生ずるおそれのある特定の業務に従事していた者のうち、法令に定める交付要件に該当する者に対し、離職の際に又は離職の後に、その者の申請に基づいて健康管理手帳を交付するものとする。

(2)事業者は、健康診断の結果に係る医師又は歯科医師の意見を勘案し、就業場所の変更、労働時間の短縮等の必要な措置を講ずるほか、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他適切な措置を講じなければならない。

(3)法令で定める規模の事業場では、事業者は衛生委員会を設置し、衛生委員会の付議事項には、長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること及び労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関することを含めるものとする。

(4)事業者は、定期健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対しては、保健師又は看護師による保健指導を行うよう努めなければならず、労働者は通知された健康診断の結果及び保健指導を利用して、健康の保持に努めるものとする。

(5)事業者は、事業場において、労働者に対し、1回100食以上又は1日250食以上の給食を行うときは、栄養士を置くように努めなければならない。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。安衛法第67条第1項により、都道府県労働局長は、重度の健康障害を生ずるおそれのある特定の業務に従事していた者のうち、法令に定める交付要件に該当する者に対し、離職の際に又は離職の後に、健康管理手帳を交付する。

そして、安衛則第53条第2項により、交付はその者の申請によって行う。

【労働安全衛生法】

(健康管理手帳)

第67条 都道府県労働局長は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるものに従事していた者のうち、厚生労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際に又は離職の後に、当該業務に係る健康管理手帳を交付するものとする。ただし、現に当該業務に係る健康管理手帳を所持している者については、この限りでない。

2及び3 (略)

 健康管理手帳の様式その他健康管理手帳について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

【労働安全衛生規則】

(健康管理手帳の交付)

第53条 (第1項 略)

 健康管理手帳(以下「手帳」という。)の交付は、前項に規定する要件に該当する者の申請に基づいて、所轄都道府県労働局長(離職の後に同項に規定する要件に該当する者にあつては、その者の住所を管轄する都道府県労働局長)が行うものとする。

 (略)

(2)正しい。安衛法第66条の5により、事業者は、健康診断の結果に係る医師又は歯科医師の意見を勘案し、就業場所の変更、労働時間の短縮等の必要な措置を講ずるほか、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他適切な措置を講じなければならない。

【労働安全衛生法】

(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)

第66条の4 事業者は、第六十六条第一項から第四項まで若しくは第五項ただし書又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。

(健康診断実施後の措置)

第66条の5 事業者は、前条の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成四年法律第九十号)第七条に規定する労働時間等設定改善委員会をいう。以下同じ。)への報告その他の適切な措置を講じなければならない。

2及び3 (略)

(3)正しい。安衛法第18条第1項の規定により政令で定める規模の事業場では、事業者は衛生委員会を設置しなければならない。そして、同項(第四号)及び安衛則第22条(第九号及び第十号)の規定により、衛生委員会の付議事項には、長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること及び労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関することを含める必要がある。

【労働安全衛生法】

(衛生委員会)

第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

一~三 (略)

 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(衛生委員会を設けるべき事業場)

第9条 法第十八条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。

【労働安全衛生規則】

(衛生委員会の付議事項)

第22条 法第十八条第一項第四号の労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。

一~八 (略)

 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。

 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。

十一 (略)

(4)誤り。安衛法第66条の7第1項の規定により、事業者は、定期健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対しては、医師又は保健師による保健指導を行うよう努めなければならない。看護師の職務に保健指導は含まれないのである。

なお、同条第2項の規定により、労働者は通知された健康診断の結果及び保健指導を利用して、健康の保持に努めるものとするとされていることは正しい。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

2~5 (略)

(保健指導等)

第66条の7 事業者は、第六十六条第一項の規定による健康診断若しくは当該健康診断に係る同条第五項ただし書の規定による健康診断又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。

 労働者は、前条の規定により通知された健康診断の結果及び前項の規定による保健指導を利用して、その健康の保持に努めるものとする。

(5)正しい。安衛則第632条の規定により、事業者は、事業場において、労働者に対し、1回100食以上又は1日250食以上の給食を行うときは、栄養士を置くように努めなければならない。

【労働安全衛生規則】

(栄養士)

第632条 事業者は、事業場において、労働者に対し、一回百食以上又は一日二百五十食以上の給食を行なうときは、栄養士を置くように努めなければならない。

 (略)

2021年02月11日執筆